【ゲゲゲの謎】同僚が知らん男と子どもを抱えて帰って来た (ページ3)

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3話ページ3

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「布団は一枚しかないんで、悪いんですけど水木さんには床に寝て貰いますからね」

「元よりそのつもりだ、助かる」

布団で寝たいなんて言い出したら張っ倒してる所だ。
そこら辺に転がっている酒の瓶を片付け、ちゃぶ台を退かし寝る準備を始める。

雨のせいで部屋の中も何処か湿っており、更に私の気分を鬱憤とさせた。

何でこの男の提案を引き受けてしまったのだろうか。

「あの、所で水木さん…ずっーと気になってたんですけどあの人何ですか…？」

「ゲゲ郎のことか？」

「ゲゲ郎…………」

見た目や格好だけでなく名前も変なのか。
相も変わらず赤子をあやし続けている男と私は先程から一回も言葉を交わしていない。

何なんだ、あの男。
御礼の一つも無いのかと怒りを感じるが、赤子の前で怒鳴って泣かれると困る。
その不満を誤魔化す為眉間の皺をぐっと掴む。

私に少しだけ残っている良心がチクリと痛んでしまう、赤子はずるい。

それに、あの片目の男は何か苦手だ……

何処か人間離れしていると言うか

「お主、Aと言ったか？」

「え」

少し離れた場所にいた筈の男が、俯いた私の顔を覗き込んでいた。

乾いた声が私の口から零れ出る。

心臓、止まるかと思った。

「…あ、はい……私の名前、Aですけど
何の御用でしょうか…」

矢っ張りこの男、人間離れしてる。
何処か、不気味だ。
心臓の場所に手を当て、ドグリと跳ねる心音を確かめる。

良かった、心臓止まってなかった。

　

「すまんが……儂等は床で構わぬから
鬼太郎…我が子供だけは温かい布団で寝かしてやってくれんかのう」

うとうとと眠そうにしている子どもの姿が目に映る。
片目の男は先程の不気味さと打って変わって赤子をいとおしそうに見つめていた。

見た目と違って、随分マトモな事を言う親だ。
最も、マトモな親は私の家に頼みこんだりしないのだろうけど。

「そのつもりでしたよ…元より…
あ、貴方にも布団で寝てもらいますからね

私、赤子のあやし方なんて分からないんで夜泣きされても対応出来ませんから」

男はキョトン、とした顔で瞬きを何度かする。
床で寝るなんて不本意だが、事実私は赤子と接したこと等ない。

赤子と同じ布団で寝るとなれば一番赤子との距離が近い私があやす羽目になるだろう。

そんなのは、御免である。

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