忌避 ページ6
授業後。わざわざ教室の前まで迎えに来てくれた白石さんとダブルスのお二人に連れられてテニスコートへ歩く。面倒見がいい人達なんだな、と改めて実感した。
校舎を出てすぐのコートには既に数人がいて、グリップテープを巻いたりストレッチをしたりと思い思いに過ごしている様子だった。すると、私より背の低い男子生徒が勢いよく駆けてくる。
「なぁ！ 白石、それ誰？」
「それって呼び方は失礼やろ金ちゃん。 今から説明するから、皆のこと呼んでくれるか」
「ええで！ おーい千歳、銀、謙也、財前！白石が呼んでるで！」
大声で手をふる赤い髪の「金ちゃん」と呼ばれた彼をぼんやり見ていると、後ろからひょいとこちらを覗き込んだ一氏さんが教えてくれた。
「一年生の遠山金太郎、通称金ちゃん。元気やろ」
「は、はいっ」
返事が裏返ってしまった。だって、眼力に迫力があるんだもの……。気まずさを誤魔化そうとすると、一氏さんは少し困ったように笑った。
「そんな緊張せんでええて。テニス部みんな良い奴やから」
そう言う一氏さんが怖いです、とは言えず。軽く目をそらすと、小春さんが助け舟を出すようにこちらを伺った。
「あらあら、ユウくんったら面倒見ええやんか」
「小春！嫉妬してくれたんか？」
ケロリと態度を変えてハートが飛ぶほど甘い口調で小春さんにくっつく一氏さんの態度は、あまりにもギャップがある。なんだか目が離せないような気がして、そうかこれがお笑いか。と変に納得してしまった。
「なんや白石ー、お。知らん子や」
「……ほう、また珍しい」
ピアスをつけた人、背の高い人、なんだかお坊さんみたいな見た目の人。個性豊かな面々を見渡す。これが、テニス部のメンバー。
「テニス部をマネージャーとして支えてもらう人材見っけてきたで」
白石さんから目配せされ、慌てて頭を下げる。
「二年のAAです。転校してきたばかりです。前の学校でもテニス部でマネをしてました」
「ふーん、それで目をつけた訳すか」
「経験があるってのは有難いでな。雑用だけじゃなくて色々やってもらうつもりや」
「よろしゅう頼むで」
「オサムちゃんにも後で挨拶してもらわな」
オサムちゃんは顧問のせんせーでな、と遠山くんが言う。彼を追いかけるようにコートに一歩踏み出した瞬間。
嫌な汗が首筋を締めるように伝った。慌てて首を振って、氷帝での記憶を追いやる。
過去なんかに負けてたまるか。私はここで、大好きなテニスをやり直す。
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純春(プロフ) - ユウジがカッコよくてもう、本当尊かったです！！四天王寺の皆も優しくて！今までの読んできた小説の中で一番好きでした！素敵な小説をありがとうございました！！ (2022年8月12日 3時) (
レス) @page35 id: 09c558d372 (このIDを非表示/違反報告)
ユズキ - はじめまして。ユウジ夢探していたらこちらの作品に出会いました。ユウジ本当にかっこよくてきゅんきゅんしました……！ユウジ夢自体あまり世の中に多くない中、こんな素敵な作品に出会えて本当に幸せです！ありがとうございました！ (2021年8月30日 11時) (レス) id: 9fc0ea5f67 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - ユウジくんの作品を探してたら辿り着きました。とてもきゅんきゅんしました！ (2021年3月1日 4時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
におー - この作品を見てからか、四天宝寺の中でユウジが一番の推しになりました！ (2020年8月9日 23時) (レス) id: ee24a57219 (このIDを非表示/違反報告)
猫乃(プロフ) - 珠那さん» コメントありがとうございます、とっても嬉しいです。 気に入って頂けて何よりです、どうか完結までお付き合いよろしくお願いします！ (2020年6月23日 12時) (レス) id: 04007d82f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫乃 | 作成日時：2020年5月9日 18時
