動揺 ページ5
眼鏡で物腰柔らかそうなのが金色さん、ヘアバンドで金色さんにベッタリなのが一氏さん……で、良いんだろうか。嬉しそうに二人のことを紹介する白石さんを見るだけで、テニス部は仲がいいことを伺える。……そして、お笑いはテニスに関係あるのだろうか。よくわからないけど、二人が誇らしそうだから同意しておこう。
「へぇ、すごいですね」
脳みそが足りていないようなとりあえずの感想を零すと、一氏さんがそれに真っ先に反応した。
「なんや頼りないな、ほんまに大丈夫なんか」
私がなにか言う前に白石さんが口を開く。宥めるような口調だ。
「ユウジ。この子は元氷帝のマネなんや、経験者やからそれなりに知識は持っとるはずやで。な？」
「は、はい。テニスは好きなので……ある程度勉強してます」
話を振られて、慌てて頷く。そう、少なくとも全くの素人よりは役に立てるはずだ。テニスが好きで、必死に追いかけて知識をかき集めて、経験を積んできた。このことは譲れない。
ほう、と一氏さんが眉を下げて口元に手を当てた。認めてもらえたのかはわからない。けれど、さっきよりも心なしか彼の表情は柔らかくなったように見えた。
「それにしても、氷帝っちゅーとまたデカいとこやな」
「でも、そしたらなんでウチに来たん？ 引越しとか？」
小春さんが指を立てて言った。
それを聞いた瞬間、ずるりと嫌な記憶が脳みそのドアを叩く。どう説明していいかわからなくて、一瞬目を伏せる。廊下と四人分の上履きが視界に入った。
「……あの、」
考え込んでから顔を上げた。けれど、その仕草だけで先輩方には伝わってしまったようだ。白石さんは眉を下げ、一氏さんは瞬きをする。金色さんの手が私の肩に軽く置かれた。
「あぁ、言いたくなかったら言わんでもええんよ。ゴメンなさいねAさん」
「小春、慰めるだけなら触らんでもええやろ浮気か？」
「んもう、違うわよユウくん落ち着いて？ ホラ」
テンポのいい二人の会話に、中々口が挟めない。浸りたくもない感傷から引きあげられた気分だった。
「ありがとうございます、金色さん」
「小春でいいわよぉ。これから仲良くしまひょ」
「おい、俺より小春と仲良うするとか許さんからな」
「えっ」
間髪入れずに詰め寄り私を威嚇する一氏さん。怖い。
「ああ、この二人はちょっと特殊でな。これもコントやと思っててや」
困惑する私に、白石さんがそっと教えてくれた。コントにしては、一氏さんの目は本気だったような。
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純春(プロフ) - ユウジがカッコよくてもう、本当尊かったです！！四天王寺の皆も優しくて！今までの読んできた小説の中で一番好きでした！素敵な小説をありがとうございました！！ (2022年8月12日 3時) (
レス) @page35 id: 09c558d372 (このIDを非表示/違反報告)
ユズキ - はじめまして。ユウジ夢探していたらこちらの作品に出会いました。ユウジ本当にかっこよくてきゅんきゅんしました……！ユウジ夢自体あまり世の中に多くない中、こんな素敵な作品に出会えて本当に幸せです！ありがとうございました！ (2021年8月30日 11時) (レス) id: 9fc0ea5f67 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - ユウジくんの作品を探してたら辿り着きました。とてもきゅんきゅんしました！ (2021年3月1日 4時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
におー - この作品を見てからか、四天宝寺の中でユウジが一番の推しになりました！ (2020年8月9日 23時) (レス) id: ee24a57219 (このIDを非表示/違反報告)
猫乃(プロフ) - 珠那さん» コメントありがとうございます、とっても嬉しいです。 気に入って頂けて何よりです、どうか完結までお付き合いよろしくお願いします！ (2020年6月23日 12時) (レス) id: 04007d82f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫乃 | 作成日時：2020年5月9日 18時
