悪戯 ページ23
「A、やってるか」
私は今日も今日とて部活に励んでいる。
……勿論、意識してしまっているせいで前までと同じようにとは行かないけれど。それでもきちんとよそ見はせずに頑張っている。時折、横顔を追いかけてしまうことはあるけれど。
そんな私に、タバコを灰皿に押し付けた先生が声をかけてきた。
「渡邉先生」
一旦運んでいた備品を置いて彼の元へ駆け寄る。またビデオの話だろうか、それとも練習メニューの変更？ 私が彼の顔を見つめて指示を待つと、彼は帽子の下で目を細めた。
「ん。見る限り、親睦は深めてるみたいやな」
一瞬なんの事かわからなくて考え込んだ。親睦。確かに、最近は部活動以外の時間でもテニス部の皆さんといることが増えた。
「……？ あぁ、そうですね。皆さんとっても良くしてくれて」
どうして今そんな話を、と思っていると、彼の目が少しイタズラっぽく細められた。なんだかよからぬ気配だ。
「特にユウジやろ」
「えっ」
思わず言葉に詰まった私を見て、渡邉先生は一瞬目を見開いた後吹き出した。それはもう盛大に笑ってくれる。
「あはは、参ったわ、カマかけるつもりやったのに。……誰にも言わんて、安心し」
カマかける、とは。つまり私は先生に嵌められたのだろうか。一気に額から首もとが熱くなるのを感じていると、彼はお腹を抑えて笑う。ひどい、と小声で言うと、
「堪忍堪忍、……っはは、Aはわかりやすいなぁ」
と全くそう思っていなさそうな態度で言われた。……なんだか釈然としない。と、コートの方から聞き慣れたよく通る声が響く。
「A！ オサムちゃんと喋っとらんでこっち手伝え」
「一氏さん！？ すみません、 今行きます」
表情の見えない渡邉先生が、軽い口調で言った。
「お。青少年、俺に嫉妬かね」
「そ、そんな訳……」
いやいやいや。一氏さんは練習がしたいだけですから。私なんかにそんな感情持ちませんから。そう言い聞かせたいのに、心のどこかではそうだったら、なんて期待している。
「青春やなあ。応援しとるで」
「余計なお世話です先生！」
逃げるように走り去ると、後ろから快活な笑い声か聞こえた。ああ、もう。
コートに戻れば、忍足さんと一氏さんが準備体操をしている所だった。周りのメンバーは、ベンチに並んで座って思い思いに過ごしている。ノートを広げたり、頬杖をついてコートを見つめたり。
私が駆け寄ると、忍足さんが合図するように大きく手を振った。
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純春(プロフ) - ユウジがカッコよくてもう、本当尊かったです！！四天王寺の皆も優しくて！今までの読んできた小説の中で一番好きでした！素敵な小説をありがとうございました！！ (2022年8月12日 3時) (
レス) @page35 id: 09c558d372 (このIDを非表示/違反報告)
ユズキ - はじめまして。ユウジ夢探していたらこちらの作品に出会いました。ユウジ本当にかっこよくてきゅんきゅんしました……！ユウジ夢自体あまり世の中に多くない中、こんな素敵な作品に出会えて本当に幸せです！ありがとうございました！ (2021年8月30日 11時) (レス) id: 9fc0ea5f67 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - ユウジくんの作品を探してたら辿り着きました。とてもきゅんきゅんしました！ (2021年3月1日 4時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
におー - この作品を見てからか、四天宝寺の中でユウジが一番の推しになりました！ (2020年8月9日 23時) (レス) id: ee24a57219 (このIDを非表示/違反報告)
猫乃(プロフ) - 珠那さん» コメントありがとうございます、とっても嬉しいです。 気に入って頂けて何よりです、どうか完結までお付き合いよろしくお願いします！ (2020年6月23日 12時) (レス) id: 04007d82f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫乃 | 作成日時：2020年5月9日 18時
