夜道 ページ19
「すっかり暗なったな」
謙也が言った。気付いたら辺りは街灯がちゃんと明るく見えるほど夜の色になっとって、俺はそこにおった三人の顔に視線を移す。ベンチでジュース片手にだべっとったらもうこんな時間。早いもんやな。
俺らはええかて、Aはあんまり引っ張り回したら疲れてまうかもしれん。明日も朝から部活があるしな。
「そやな、帰るかぁ」
返事をすると、謙也も同じことを考えていたらしく財前の隣に座っている彼女に声をかける。
「A、帰り道どっちや」
「こっちの通りを右です」
控えめに俺らを見て帰る方向を指さすA。それを見て、真っ先に謙也が手を挙げた。財前も気だるそうにそれに乗っかる。
「ん、じゃあ俺がついてくか」
「いや、俺が行きますわ」
……いや、お前ら帰り道逆やろ。何考えとんねん、と思いながら口を開く。
「じゃあ俺が」
「どうぞどうぞ」
「謙也！ 財前！ それやりたかっただけか！」
ベタベタなネタすぎるやろ。勢いよく突っ込むと、Aが目を丸くしてから目を細めて笑った。
俺の大声でカラスが飛んで行った気配がしよる。
「……っ、ふふふ」
「Aわろてるからええっちゅー話やろ？」
「まあせやな、完璧なボケやったし」
そりゃ、こうやって誰かが笑ってくれるとこっちまで嬉しいし。忍足に頷くと、財前は向こうで「もうやりませんけどね」とそっぽを向いていた。生意気な。いつもの事やけど。
「ほな、行くで」
Aに声をかけて立ち上がると、あいつはカバンを持って椅子から跳ねるように立った。……なんか、雛鳥みたいでちょっとかわええな。丁寧に二人に向き直ったAはぺこりと頭を下げる。律儀だ。
「ありがとうございました忍足さん、財前くん」
「はいはい」
「ほなまた明日」
俺もついでに片手を上げる。
「じゃあな」
さっさと歩き出せば、小さな歩幅であいつが着いてくる。
……公園を出てからはたと気付く。横に視線をやれば、しっかりとAと目が合った。慌てて逸らす。
女子と二人きりやん。まじか。というかなんで今までこの状況に気付かんかったんや俺。視界の端でスカートがふわふわ揺れている。
気まずいやら恥ずかしいやら、何を話していいのか全く分からへん。うわ、意識しまくってる。俺カッコ悪。
誤魔化すように見るでもなく街並みを見てると、ぽつりとAが口を開いた。
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純春(プロフ) - ユウジがカッコよくてもう、本当尊かったです！！四天王寺の皆も優しくて！今までの読んできた小説の中で一番好きでした！素敵な小説をありがとうございました！！ (2022年8月12日 3時) (
レス) @page35 id: 09c558d372 (このIDを非表示/違反報告)
ユズキ - はじめまして。ユウジ夢探していたらこちらの作品に出会いました。ユウジ本当にかっこよくてきゅんきゅんしました……！ユウジ夢自体あまり世の中に多くない中、こんな素敵な作品に出会えて本当に幸せです！ありがとうございました！ (2021年8月30日 11時) (レス) id: 9fc0ea5f67 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - ユウジくんの作品を探してたら辿り着きました。とてもきゅんきゅんしました！ (2021年3月1日 4時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
におー - この作品を見てからか、四天宝寺の中でユウジが一番の推しになりました！ (2020年8月9日 23時) (レス) id: ee24a57219 (このIDを非表示/違反報告)
猫乃(プロフ) - 珠那さん» コメントありがとうございます、とっても嬉しいです。 気に入って頂けて何よりです、どうか完結までお付き合いよろしくお願いします！ (2020年6月23日 12時) (レス) id: 04007d82f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫乃 | 作成日時：2020年5月9日 18時
