クズ達に本気を出された結果。

伏黒甚爾という男 ページ30

……





あの後、私は男に解放してもらった。




『そんで、君名前は？』


「……伏黒甚爾」


『ハイハイ伏黒ね。君の訳は聞かないけど死なれても困るし回復するまで此処にいりゃ良いんじゃない』





すると、うげっという顔をした。どんだけ術師嫌いなんだよ。





「…………てめーの名前は？」


『あー…山田花子でーす』


「は？？」


『だ、だって術師殺しに名前覚えられたくないじゃないか！』





伏黒が誰を殺 そうと仲間と自分じゃなけりゃどうでもいいが自分や仲間だったら別だ。





「安心しろ、気に入った人間をそうそう殺さねぇ」


『え。何。気に入られたの私』


「気に入りでもしねーと俺は大嫌いな術師と話さねんだよ。有難く思う事だな」


『きゃーー嬉しーー』


「…………可愛くねー」


『君も顔以外はカッコよくないよ』


「殺すぞ」





私は物騒な会話に溜息をつき、適当に置いておいた本を開いた。





『もうすぐ君を拾ったコと君を診てくれたコが来るからそれまで寝てるこった』





すると、ひょいっと本を取り上げられた。いや何すんの。





「寝るの飽きたしお前くらいしか話し相手いないだろ」


『ンなの知らないよ。本返してくれないかな？』





取り返そうとするが、長い手を使ってひょいひょいっと避けるものだから殺意が湧く。


手を伸ばし、もうそろそろ届く…という所で。





伏黒は手を軽く振り、本を投げた。
ﾊﾞﾋﾞｭｯ!!!と音を立てて窓から吹っ飛んでいく本。



…………え。





『えええええ！？！？！？』




な、え！？私の本が！！！



ていうか今軽く振っただけだよね！？なんであんな吹っ飛ぶわけ！？





「あ、言ってなかったな。俺が天与呪縛の…呪力を代償として、代わりに得た物。それが身体能力だよ」





呆気にとられていると、呑気にされた説明。



……そりゃ的確に吹っ飛ばせますよねー。肉体も発達してますし吹っ飛ばせますよねー。





『ていうか何て事してくれたんだい！？私の本なんだけど！！』


「つまんねーからに決まってんだろ。ちったァ付き合えよ」


『だからってフツー吹っ飛ばす！？』





食ってかかるように伏黒に向かって叫ぶと、彼はニヤリと笑った。



……この笑顔見た事ある。悟と傑が何か企んでる時の顔にそっくりだ。





「なあ、A」


『……何。』


「俺を高専に置け。」





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