吸血鬼は恋がしたい2

67話 ページ17

ｻﾘﾑ「これがハージ村名産のノモイモですか」

神父「サリムさんの様な貴族のお口に合うかどうかは解りませんが」
ｻﾘﾑ「うん、パサッとしてモソッとしてこんな口が渇く感触は初めてだ」

ｻﾘﾑ「しかし…美味しい」

ｻﾘﾑ「リリーさん、貴女は素晴らしい料理の腕をお持ちのようだ」
ﾘﾘｰ「それほどでもありませんわ」
神父「さあさあ遠慮しないでたくさん食べて下さい。クラウスさんもミモザさんも」

ｸﾗｳｽ「あっ、はい」
ｸﾗｳｽ(なぜ貴族の私がこんな何だか良く分からない物を食べねばならぬのだ…)

ﾐﾓｻﾞ「まあとっても口が渇きますわ」

神父「そうでしょうそうでしょう。ユノとアスタが魔法騎士団に入って初めての給料から仕送りしてくれて…」

神父「それでノモイモをたくさん買うことができて、子どもたちに毎日腹いっぱい食べさせてあげられる…」

ﾘﾘｰ「アスタのお友達さんも仕送りしてくれたのよ？見もしない私達に…」

ﾅｯｼｭ「っていうかノモイモ以外のものも食べさせてくれよ」

神父「贅沢を言うな。見ろ、ユノだってノモイモでこんなに大きくなったんだぞ」

ｻﾘﾑ「ユノ君、初任給から仕送りとは素晴らしい行為だ」

ﾘﾘｰ「ユノ、本当にありがとう。お陰でいろいろ助かってるのよ、ノモイモだけじゃなくて」

ﾚｯｶ「床の穴を塞ぐことが出来たのよ」
ﾅｯｼｭ「庭に井戸も掘れたしな」

ユノ「アスタも仕送りを？」

神父「ああ、アイツが仕送りをなあ…」

ユノ「アスタはいくらくらい？」
ﾘﾘｰ「えっ？えっと…ゴニョゴニョゴニョ…」
ユノ「なっ!?」

アスタ「ハッハッハッ！俺の勝ちだ！」

ユノ「来月から俺は給料を全部送ります！」

ﾘﾘｰ「えっ!? 良いのよそんなに…この前、送って貰った分だけでしばらく大丈夫だから。気持ちだけで…それにアスタだけじゃなくてAちゃんも送ってくれたし…」

ﾅｯｼｭ「ってかAって誰だよ…見もしない俺らに仕送りとかとんだ馬鹿じゃねえの？」

『へっくしょ！風邪かなぁ？』

ユノ「送ります！」
ﾘﾘｰ「あ…そ、そう？ありがとう」

ｸﾗｳｽ「サリム殿そろそろ出発しませんと」
ｻﾘﾑ「まあまあもう少し良いではないか。こうして見聞を広める事もこれからの貴族にとって大切な事じゃないかな」

ｻﾘﾑ「リリーさんお水をもう一杯頂けますかな」
ﾘﾘｰ「はい！」

ﾘﾘｰ「あら空っぽ汲んできますね」
ユノ「俺が…」
ﾘﾘｰ「良いのよ。ユノはゆっくりしてて」

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