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✩意思✩ ページ23

さっきの席に戻り、今度こそ腰を下ろす。待っていたと言わんばかりに、ビルス様が口を開いた。

「……で、娘。君が代表代理になるって、本気で言ってるのか?」

「はい。……というか言ったじゃないですか、"私が代表代理になることを"条件にこの件の許可を得た、と」

横髪をいじりながら淡々と答える。次に口を出してきたのは、孫悟空だった。

「で、でもよ空愛、おめぇオラが誘った時"武術は護身程度"って言ってたろ? それで平気なんか?」

「……確かに私は"護身程度"と言ったわ。
けどその武術は誰に習ったものだと思う?」

「呼び方的に考えて、娘が武術を教わったのはベジータだろうね」

首を傾げそうになった孫悟空の代わりに、ビルス様が私の問いに答えた。

「その通り。私は十年ちょっと前、ベジータ師範から当時の彼がもつ武術の全てを教わった。
十年前とはいえ、かなりの実力をもっていた師範から教わった護身術……これが一般人のそれだと思ったら大違いよ、孫悟空」

「なんでベジータのこと師範って呼んでんのかと思ったら……そういうことだったんか!」

「……因みにアンタに誘われた時に断ったのは単純に嫌だったから」

「ふっ……」

ずいずい距離を詰めてくる孫悟空を押し退けながら真顔でそう言うと、耐えきれなくなったのか師範が軽く吹き出した。

「じゃあ娘。君は多少なりとも選手として役に立てる……ってことだね?」

「さぁ、それはどうでしょうね」

「はぁ!? どういうことだ!」

またビルス様が大声をあげた。なんとまぁよく鳴くネコさん(?)だこと。

「正直私はこの五人の中で一番弱いでしょうし、実力が未知数である第六の選手を倒せるとは思えないです」

「じゃあどうして代理の件を飲んだんだ!」

「倒せるとは思えない……けど、生贄になることは出来ます」

「生贄だと……? おい空愛、一体なにを考えている」

"生贄"という単語が語弊を生んだのか、師範が鋭い目をこちらに向けた。

「例えば……ほら、アイツとか」

そう言って、向かいにある第六の選手席に目をやる。師範たちも私の目線の先を見た。その先に居るのはもちろん、異様な雰囲気を放っている紫色の奴。

「雰囲気的に、アイツが最後の選手。そしてきっと、とんでもなく強い。恐らく師範や孫悟空でも、簡単には突破できないでしょう。そんな時に生贄()の出番です」

「空愛……お前まさか」

「はい。
私が体を張って、奴の対策のための時間を稼ぎます」

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作者名:一華(Web) | 作成日時:2023年5月24日 23時

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