宇宙さえ超えて (ページ22)

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✩約束✩ ページ22

「ビルス様」

「帰ってきたね、いい返事はあった……って、なんだその格好！？」

私の姿を見たビルス様が驚いて大声をあげる。
まぁ、当然と言えば当然の反応だ。そもそも私が急に着替えたという事実だけでも十分驚くに値するだろう。しかもただ着替えた訳でもないし。
今私が着ているのは、動きやすくアレンジされたチャイナ服。孫悟空や師範ほど本格的なものでは無いが……私が無法地帯に足を踏み入れる際に着る、立派な"戦闘服"だ。

「代表代理の件は承諾を得ました。

……私が代表代理(それ)になることを条件に、ですが」

「はぁ！？娘、君が！？」

「はい」

髪を高い位置にくくり、師範の隣に腰かけ……ようとして、やめた。
そういえば母さんに事情を話すのを忘れてた。

心配性なあの人のことだから最初は反対されるだろうけど…言うだけ、言ってみよう。

「師範。ちょっと母さんの所へ行ってきます」

「あぁ……というか、何故それを俺に言う。カカロットかビルスに言えばいいだろう」

「ビルス様はともかく孫悟空は嫌です」

「……相変わらずだな」

小さく笑みを浮かべた師範の顔を少しだけ見て、観客席へ飛び立った。

𓇼𓆉𓂃𓈒𓏸 𓐍 𓏸 𓐍𓆉‎𓂃◌𓈒𓐍

「オラは反対だ！！」

観客席全体に響く母の声。……やっぱり、反対されるよね。分かってたよ。
……けど

「聞いといてごめんね母さん、もう決めたことなの」

母さんの前に膝をついて、その頬に手を添える。

「……大丈夫。この格闘試合は殺し禁止。事故とかでもない限り、私が、ついでに父さんが、死ぬことはないから」

「でも…！それでも、空愛ちゃんが怪我することに変わりはねぇべ！女の子がそんな危険な所に足突っ込む必要はねぇ！！」

私の手を握って、泣きそうな顔で母さんが言う。確かに、格闘試合であるからには怪我覚悟で挑まなければいけない。怪我をしても文句は言えない。
母さんは元々武道家。だからこそ、こういった男女の隔たりのない試合の危険性を分かっているんだろう。

「そうだね。本来なら私も、こういう場所に自ら飛び込むことは無いと思う。けど、今回は訳が違う。
……ダメそうだったら、無理せず降参する。約束するから。ね？」

「……。

……分かった。約束、破るでねぇぞ」

ほら行ってこい、と母さんが選手の居る場所を指差した。

「うん……じゃあ、行ってきます」

母さんをそっと抱き締めてから、他選手の待つ選手席へ戻った。