宇宙さえ超えて (ページ21)

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✩代表代理の戦士 Another side(後編)✩ ページ21

「代表代理だとぉ！？そんなの許せるわけないだろ！そっちが提案した筆記テストだぞ！！」

納得が行かん！と言わんばかりの声量でシャンパ様が怒鳴る。しかし空愛さんは怯みもせずに続けた。

「そうですか…ですがシャンパ様、考えてみて下さい。
人数有利の状態で勝ったとして…それって真の意味で勝利と言えるのでしょうか？」

真の意味の……勝利？

「……なんだと？」

ボクが疑問を抱いたように、シャンパ様もまた、空愛さんの言葉に疑問を抱いたようだった。
その言葉を聞いた空愛さんは口角をほんの少しだけ上げ、再び口を開いた。

「真の勝利は、平等な手数からもぎ取ってこそ得られるものです。こちらの手数を増やすことでビルス様に貸しを作り、その上で勝つことで真の優越感に浸る…考えただけでも楽しくないですか？」

ゆっくりと言い聞かせるように紡がれる言葉。
…成程、口が上手いとは彼女のことを言うのか。
表情が緩みきったシャンパ様を横目で見て、そう感じた。

「如何です？代理選抜を許可してくださいませんか？」

トドメを指すように、空愛さんがもう一度打診する。
今のシャンパ様なら許可をくれると、確信したのだろう。勿論ボクもそう思った。

「…まぁいいだろう！」

予想通り、シャンパ様は代表代理の許可を下した。

「……ただし！
お前が代表代理の選手だ！！」

…意外な条件付きで。
父親の話をしていた時か、それ以上に空愛さんの表情が歪むのがわかった。

そして少し考え込んだ後、彼女は意を決した様子で口を開いた。

「……わかりました、私が代表代理になります。
このようなことに許可を下さり、ありがとうございました」

…ボクは内心、喜んでいた。
空愛さんが代表代理として試合に出るということは……順番次第にはなるが、ボクにも彼女と戦うチャンスがある訳だ。
女性で、ハーフで……空愛さんの実力は底が知れない。その底を、ボクがこの手で暴いてみたい。

空愛さんはもう一度お辞儀をして、自身の席に戻る……訳ではなく、ヴァドスさんの元へ歩み寄っていた。

「すみません、今私戦闘用の服じゃなくて…
出来れば向こうの岩陰かどこかで着替えたいのですが…」

どうやら何処かで着替えてくるみたいだ。

………………。

いや待て、ボクは今何を考えていた？
……真剣に勝負しようとしている彼女に失礼だ。変な考えは辞めなければ…

高ぶった気持ちを沈める為、気を逸らす為、自分の両の頬を強く叩いた。