1 ページ2
スタッフ「じゃあ、これからナンバー順にステージに上がってもらうから。ステージ中央まで行ったら自己紹介、課題の歌とダンス、最後にブーケトスを客席にトス。いいね?」
暗幕が張られたステージの袖。
ガチガチに緊張した10代の男子たちの前に、彼は念を押すように確認をした。
これは人気ボーカル、ハノンが所属するエックレコードで開催された、男子アイドルオーディション。この最終審査だった。
マイキー「お前、全然緊張してないな」
灰谷蘭が必死で欠伸を噛み殺していると、突然声をかけられた。
話しかけてきたのは参加者のひとりだ。名札には佐野万次郎とある。
マイキー「お前、1番目立ってて注目されてんのすげーな」
蘭「まぁね」
マイキー「俺も見習わないとな」
そう言って笑う万次郎を、なんとも言えない気持ちでながめた。
蘭(人のこと、言えないでしょ…)
なぜなら…
蘭「ー今更なんだけどお前、どうしてその格好なの…」
佐野万次郎は男
彼はスカートを履いていた。
蘭以上に目立って、そして別な意味で注目されている。
蘭「そういう趣味なら別にいーけど、審査に影響あるでしょ。男子アイドルオーディションなんだから」
マイキー「だろーな」
あっけらかんとした返事にちょっと驚いた。
マイキー「でも、これが俺だから。俺はこの姿でアイドルの夢を叶えるんだ」
からりとした笑顔を一瞬眩しいと感じたのは、ステージの照明がひときわ激しく輝いたからだろう。
マイキー「お、俺の番だ。んじゃ、行ってくるな」
万次郎はスタッフの合図で勢いよくステージへと走っていった。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:響夜 | 作成日時:2021年10月16日 21時