妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～ (ページ10)

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第１.５話　伝説？悠久？　１０個目ページ10

「お前は……」

……すごくガン見される。
だからこちらも相手をじっと見据えた。

睨むように、じっと。

そうしていなければ、
こちらの気がもたなくなるような気さえしたのだ。

──ふと、視線を相手の周囲へと巡らす。

……あっ、あそこにいる女の子は!

たぬきにどこかへ連れていかれてしまった、
と姉が話していた子だ。

ここからではよくわからないけれど……、
きっと大きな怪我を負っていることだろう。

速く、助けなければ。と、考えなしに駆け寄ろうとした時。

シュッ!

また風を切るような音が聞こえた。

一度怪物をみようとしたら、空を切るようなものが
見えた気がしたのでよけようとした……が、

運が良いのか悪いのか、かすり傷を負ってしまった。

「いっ……!?」

かすり傷にしては痛みが酷い。
傷を見てみると、血が少しずつ滲んでいる。

「お前が……Aか」

「!?……なぜ、名前を知っている……の?」

傷の痛みで顔がゆがむ。
もう、痛いのは嫌だっていうのに。

「オレとしたことが、とんだヘマをしたもんだ。
てっきり、こいつをAかと思ってつれてきてしまったが。

なぜか、においを感じたのでな。
しかし、あまりに無力なのでおかしいと思ったんだが」

ちゃんと私の質問に答えてよ。

それに、名前を聞くときは自分から、でしょう。
……ああもう、どうでもいいや。

「あなたは……彼女を……っ。彼女は死んでしまったの!?」

「死んじゃいないが、このまま放っておいたら死ぬわな」

「だったら、早く彼女をかえしてあげて!」

「ああ……こいつがAでないなら用はない。
ただし、A! お前には用があるんだよ」

「……あなたはだれ? 私になんの用があるというの!!」

つい怒りの混じった声になってしまう……私らしくない。

今の私を見たら、
きっと姉さんは戸惑いを見せるのだろうな。

「オレはかまち。お前を探していた。
なぜなら、お前は伝説の子。そして悠久の玉の秘密をにぎる者だからだ」

──伝説の子? 私が? そんな筈ない。
むしろ、伝説の子の意味がわからない。

悠久の玉ってヤツのことも。

私に一体、何をしろというの……?