妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～ (ページ9)

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第１.４話　丘で見たもの　ページ9

丘の方の道を走っていたら、
途中まであった街頭がとぎれ、辺りは真っ暗。

そこで立ち止まって、耳をすませてみる。

こうすれば、きっと何かが
こっちにくるということがわかると思ったから。

思えば、いくら４月でも夜にはだしでパジャマは
さすがに少し寒いと思った。

それでも、聞こえてくる
全ての音に意識を集中させる。

……しばらくすると、

シュッ……、シュッ……

そう、風を切るような音が聞こえた。

私はてっきり足音が聞こえるものだと思っていたので
少し驚いてしまった。

音のする方へ行けば、当然音はだんだんと大きくなり。
……と、思ったら目の前に木の枝が飛んできた。

再び驚き、目を見開く。

木の枝は間一髪よけたので助かった。
だが、それより誰がそこいるのかが気になった。

雲に隠れていた月が出てあたりが少し明るくなった時……

「(……そういうこと、だったんだ……)」

「お前は！」

そこにはやはり見たことのない動物
……というよりかは、生物。

ぴんと立ちあがった耳に鋭い目つき……とがったあご。

太いしっぽだけがたぬきらしい所だったけど、
月あかりに照らされた銀色に光る毛並みが、

ただの生き物でないことを語っているように見えた。

しかも予想していた通りに、とても大きい。
熊ほどの大きさはあるだろう。

いや、ここは予想通りにはいかないでほしかった。

妖怪……。

また、姉さんが本を手に話している記憶の声が
脳裏に響き渡った。