妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～ (ページ8)

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第１.３話　夜中にあった出来事ページ8

その日はよく眠れず、夜中に起き上った。
時計を見ると、十一時半。

これ以上はもう眠れないと思った私は、

「(お水でも飲もうかな……)」

そう思い、部屋を出て、食堂のドアを開けた。

刹那、地面が揺れ始める。

地震だ……すぐにそれがおさまれば、
私は地震をさほど気にすることなくコップを手にとり、

水道の蛇口をひねった……更にその時。

また、うなじのあたりに違和感を感じた。

今回は、いつもより明らかな違和感があり、
ムズムズして猛烈にかゆい。

一体なにがどうなったというのだ。

……なんだかどんどん私の行く先が
良いことなしになってきている気がしてきた。

──ガシャン!!!

突然、この一室の外から大きな……
なにかが割れた音がした。

すぐにあわてて廊下に出て、
とりあえず自分の部屋の方にいってみる。

すると、隣の姉さんの部屋と反対隣の
あの女の子の部屋のドアがあいていた。

姉さんの方はなんと、上半身がドアからはみ出て、
倒れている状態だった。

反射的に、姉の元に駆けつける。
私の体は自然と危険を察知していた。

「姉さん! 姉さん!! ……っ、血がでてる……!!
姉さん! 何があったのっ!?」

「……A……、た……ぬきが……出てき……て、
そっちの……女の子が襲われて行ってしまって……っ」

姉さんはそれだけ言って、気を失った。

……と、足音が聞こえる。おそらく先生達が来るだろう。
姉さんは先生達に任せるとして……だ。

そう考えて、私は窓から飛び出した。
幸い、ここは１階だったのだ。

そこから門まで走っていくと、３つにわかれた道があった。

１つは駅に向かう大道りへ出る道、
もう１つは別の学校に通じる道、
最後は丘に向かうのぼり道だった。

そこで私は丘に向かう道に行くことにした。

「(それにしても……ただのたぬきに、
人を持ち運べるほどの力があるワケがない。

とすればそのたぬきは、人よりも大きい存在で……
でもそんなの、聞いたこともない……!)」

見慣れた動物の、常識の範囲内で考えてみれば
絶対にありえない話だった。

──ふと、記憶の中の姉さんの声が言う。

『この本、とっても面白いのよ。
色んな妖怪が出てくるお話でね……、』

──妖怪。

現実にそのような存在が確認されたことはない。

だがもしも仮に、
それが女の子を連れ去っていったとして……。

そう考えると、途端に背筋が寒くなった気がした。