妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～ (ページ30)

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最終回　さようなら　祝３０個目! ページ30

「もう、ここにはいられないんじゃない?」

「そうね……Aの覚悟があるなら、
ここから出ていかないといけないわ」

「もうとっくに覚悟はしてる……準備、してくるね」

～医務室～

「この学校とはお別れなのね……姉さんとも。
姉さんには悪いけれども、仕方がないんだわ……」

そう呟きながら、なんとなく鏡に目を移す。
そのとたん私は驚いた。

だって、黒目のところが赤色になって、
うずを巻いていたのだから。

「その赤色の目は『うず目』というのよ。レンメイ様の目と同じ……」

「レンメイ様?」

「おいら達のお姫様だった人の名前さ。Aの母の名前だよ」

「…………」

「うず目は、最高の動体視力と言われているわ。
つまり、動いている物を見る力が並はずれてすごいこと。

どんなにすばやく動く物でもスローモーションに見えてしまう。
それだけではないわ。うず目の神経は、脳をも支配して、
超運動能力を生み出すの。それがあなたの妖力よ、A」

「私の……妖力……」

「もう決心したのよね、A」

「姉さんやみんなと別れるのはつらいけれど」

言いながら、私は苦笑いをした。
……仕方がないのだ。

「おいらとスネリは、Aと一緒だぜ」

私はただ頷くことしかできなかった。
口を開ければ、涙が出そうだったから。

「A、妖怪を妖界へ戻せるのは、あなた１人だけなの」

スネリが、静かに、でも力強く言った。
その言葉には、私を信じている気持ちが伝わってきた。

すばやく準備をすませた後、もっけの背中に手をかけ、
スネリを見て、しっかりとうなずいた。

「じゃあ、みんなが起きないうちに出発だ。つかまってろよ」

そして私達は飛び立った。上空から学校が見える。
あそこには姉さんも女の子もまだいないけれど、２人はすぐ戻れる。

でも私は……。

さようなら、みんな。
そんな私の気持ちを知ってか知らないでか、

「長い旅になるぞ。行こう」

そう、もっけがいった。

丘の向こうにはのぼりはじめた朝日が、
目に眩しいほどに輝いて見えた。

end