妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～ (ページ20)

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第１.１５話　小さな木箱　祝２０個目ですのよ← ページ20

自分自身の体や生い立ちのことなのに全く理解できない。

それに、２つあった物のひとつである
ペンダントはなくなってしまった。

残ったもう１つの物は……
でも、手がかりがあるとしたら『あれ』しかないかも。

「……ちょっと待ってて」

少し考えると、ベッドからおりて医務室からでていった。

しばらくしてまた医務室にもどって来ると、持ってきた
オルゴールほどの大きさの木箱をテーブルの上においた。

「この木箱、置き去りにされた時に
おくるみの中に包まれていたと聞いたの」

「この中になにが入っているの?」

「わからないの。今まで、いろんな方法を試してみたけれど……
叩いたり、押したり、引っ張ったり。だけど何をやっても開かなかった。
だからずいぶん前にあけることをあきらめたの。」

私がそういうと、スネリは箱を開けようと
前足をふたに押し付けたりしていた。

「……もしかしたら……」

ともっけが言うと、次に、

「この木箱を持ってみな」

いきなり言うので少し驚きつつも、その通りに動いてみる。

「その木箱をAの首の後ろにもっていて……そう。
そして、そのくぼみに第３の目を押し付けるんだ」

「えぇっ」

とマヌケな声をだしつつ第３の目に押し付けてみると、
首筋に静電気が走ったようにピリピリとした痛みを感じ、

それと同時に、木箱がかたん、と音を立てて床に落ちた。
すると木箱のふたが開いて中から何かがころげてきた。

「巻物だわ!!」

その巻物はポッキーほど小さな巻物だった。

拾い上げて紫色のふさをほどくと、黄ばんだ和紙に、
流れるような墨の文字が書いてあった。

そこには、

『いひ伝える御子あらはれ給はは悠久の玉の力かぎりなし
　そを得は話が妖しの力いや増しに増さむ
　聖玉のゆくへただ御子のみそ知り給ふ玉御許へ戻りなは……』

その後は、やぶけていて読めなかった。
私はそれを読んで、今の言葉に言い返してみた。

「伝説の子があらわれた時、悠久の玉の力が最大になり、
それを手に入れたならば、我ら妖怪の妖力は最大のものになる。

しかし、悠久の玉の行方は、伝説の子だけが知っている。
もし伝説の子のもとへ玉が戻ったならば……」

「……その先はやぶけているな」

「よく読めたわね、A」

「……偶然、読めただけ……」

首を振りながら言った私の脳裏には、
まだ会うことのできていない姉の姿が浮かんでいた。