妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～ (ページ17)

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第１.１２話　第３の目　ページ17

次の日、私はずっと医務室で考えていた。

かまちを狙ったのは私。

私のせいで、姉さんは深い傷を負い、
女の子は連れ去られ、人質にされてしまった……

そう思うと胸が苦しくなった。

その気をそらすために、ふと外を見てみた。

……あれ? なんでみんな動くのがおそいの?

その光景は、車のタイヤはゆっくりゆっくり回り、
人の歩く足が遅く、口の動きまでスローモーションに見える。

どうして? また、結局私は夜まで考え込んでしまった。

──夜、私はまた夜遅くに目が覚めた。
最近いつもこのくらいの時間に起きる。

夜中の十二時。ふと、うなじの方が気になって触れてみた。
そしたら、なぜかぬめっとした感触。

ギョッとしながらも疑問に思い
そこにあった手鏡を見てみると、うなじには目があった。

こちらを見つめる目が、ひとつ。

「とうとう第３の目が目覚めたのね」

「……スネリ……」

いつの間にか、音もなくここへ来ていたらしい。
第３の目。それを知るためには。

「私のこと……くわしく教えて……」

それを聞くことになるだろう。

「……えぇ。Aは妖怪の狐のお母さんと、
人間のお父さんとの間に生まれた子、というのは話したわよね」

２人は、小さな孤島の住人だった。
お母さんは人間界に住む妖怪の末裔、最後の１人で。

母が妖怪だということは、父だけが知っていた。
そして人間の子供を産めば、母が死んでしまうということも。

それでも母は、お腹の中にやどった自分を産みたかった。
──そして、私が生まれたと同時に命をおとしてしまった。

ところが、私が生まれ、父はとてもおどろいた。
私のうなじにあるその第３の目を見てしまったからだ。

父は陰陽道を伝える家筋の陰陽師で、
亡くなったおじいさんから伝え聞いた伝説があった。

「伝説……?」

「えぇ、それは
『第３の目をうなじに持つ者が現れた時、世界がふるえる』。

それで、父は迷った。
あなたがいることで世界が滅亡するのではないかと」

「私がいることで、世界が……」

「それが『伝説の子の言い伝え』のひとつだったの。
それで、父は決心した。

父はAの第３の目を封印することにしたの。

第３の目を完全に消してしまうことはできないけれど、
封印はできる。封印というのは、陰陽道の力で、

Aが生きているかぎりは、
第３の目を目覚めさせないようにするということよ」