妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～ (ページ11)

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第１.６話　光る影ページ11

「私は確かにAだけれど。でも人違いでしょう。
伝説の子とか悠久の玉とか、私にはワケがわからないもの」

「……オレが間違えたのか……
いや、しかし、お前には伝説の子のにおいを感じる。
……だが、どうして、お前はそんなにのろまなのだ!

……オレもがっかりだ。お前がこんなに無能だと知ってはな。
まぁこいつよりはマシだったが。

伝説の子がおそろしい力を持っているなど
というのは、デマだったわけか。

そのすねの傷、ためしに傷つけてみたが、
お前は逃げたまではいいものの、かすり傷を負った。

手加減したほどののろさだったというのにだ!」

よける……? 伝説の子ならばよけられたというの?
あの速さのものを?

ばかばかしい。

いくら運動神経が良くたって、
そんなこと出来るはずがないのに。

それに、伝説の子のにおいがするだなんて。

「あなたが、私のなにを知っているっていうのよ……もう」

「そうとわかれば、とっととお前を仕留めてつれていき、
力ずくで聞きだすまでだ。まずはそのかぼそい足だ」

なるほど……足を傷つければ
つれていきやすいと考えたのね……。

しかし……どうしたらいいの?
私じゃあいつの攻撃を避けることは不可能。

──傷口が痛くて、
せっかくの回転の良い頭を動かすのも嫌になった。

とにかく、この体さえ、速く動いてくれれば……!!

早くしないと彼女も死んでしまう……と、考えていると、
いきなりうなじがさすような痛みにおそわれた。

「ッ……!? いた、痛い……何これっ……」

かまちはかまわず攻撃してこようとする……
避けなければ……

そして彼女を助けて、逃げないと……。

風の刃がうなりをあげ私を襲おうとしたその瞬間……
何かの光る影が私と相手の間を裂くように入り込んできた。