ひとめぼれと運命『紫&青』 (ページ28)

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Aは僕の元カノ。

高校時代から本当にモテていた。

かわいいし、ダンスが上手くて、ダンス部のマドンナって言われてた。

ちなみにAの父親はプロのダンサーだそうだ。

だからもう遺伝的なものでダンスの感覚が子供のころから研ぎ澄まされていたのだろう。

父親のほうがダンスの世界大会で優勝経験があるらしく、「なんで娘はできないんだって」言われるかもしれないって思ったらしく、結構プレッシャーに追い込まれていたこともあったらしい。

でも父親は、賞を取れとかそんなことは言わなかったらしい。

むしろダンスを楽しんでくれたらそれでいいといったそうだ。

でも、一度世界大会に出てみたかったらしく、出てみたら入賞したと聞いた。

すごいんだぞって、俺の彼女って、自慢できるような彼女だった。

でも、ダンス部の発表があったら世界大会に出ているくらいなので、
ふつうはセンターなのかもしれないけど、センターに近いポジションにいつもいた。

なんでかと聞くと、本気ではやっているけど、センターにはいたくないそうだ。

なんとなく深くは聞けなかった。

話を聞いたとき辛そうな顔をしていたので、Aの過去になにかがあったんだろうと思ってそのままにしていた。

ある日、なんでダンスを始めたのか聞いてみると、二つ理由があった。

一つは、自分を表現できるものが何かを考えたときにダンスだったらしい。

ダンスを楽しんで踊ることが自分にとって一番楽しくて、体を使って表現することが楽しかったそうだ。

二つはお父さんの影響もあるけれど、一番は自分が小さい頃に出会ったある子の存在があって、その子もダンスをしていて、その子と例え離ればなれになったとしても、いつかその子に会えるんじゃないかと思って、父親にダンスを習いたいと言ったからだそうだ。

その子のことを僕は全く知らないけど、その子のことを大切に思っているんだろうというのは伝わっていた。

だから僕は今でもその子に感謝している。