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248羽 ページ46





1人で歩く帰路、Aは携帯でとある人物に電話をかけていた。着信のコール音が静かな夜道に響き、数コールした後にその音が止まる。通話時間のカウントダウンが始まると同時に携帯の向こう側から「もしもし。」という声が聞こえた。



「お電話失礼します。白鳥沢学園高校排球部の方で間違いないでしょうか。」
「その声、白鳥っ!?」
「その声はコーチの斉藤さんであっていますね?鷲匠さんとお話したいのですが。」
「……分かった。ちょっとまってくれ。」



バレー部のTELってコーチの番号だったんだ……なんて内心少し驚きながらも鷲匠の声が聞こえるのを待つ。数秒後、再び携帯の向こう側から貫禄のある声で「なんだ。」と聞こえた。



「お電話失礼します。お話があるのですが。」
「そんなにかしこまらんでいい。……で、話っつーのは?」
「……分かっているくせに。」



Aの言葉に、鷲匠は「さぁ、なんのことか。」と返す。Aは短くため息をついてから、用件をポツリポツリと語り始めた。



「全日本ユース強化合宿へ私を招いたのは貴方ですよね。異例中の異例ですよ、強化合宿へマネージャーが招かれるなんて。」



そう、先ほどの練習の際に告げられたユースに召集されたことについてだ。

確かにAはマネージャーとしては有名ではあるし、マネージャー、あるいは指導者としてのセンスと的確なアドバイスの能力はあるだろう。けれどそれまでであって、全日本ユースに召集されるほどではない。

宮城でこそ名は知れ渡っている者の、全国へ行けば知らない者だって多い。中学時代白鳥沢と対戦したような強豪校出身の選手にやっと認知されている、くらいのはず。そんな自分が全日本ユースのマネージャーとして招集される、ということは誰かしらからの働きかけがあったに違いない。


自分をよく知り、なおかつ推薦できる力を持つ人物といわれて、鷲匠以外に思いつく人物は居なかった。その意図が知りたくて電話をしたのだ。

しかし、問いを投げたAに返ってきた言葉は少し意外な言葉だった。



「アホぬかせ。異例なことくらい理解してるしそんなこと俺がわざわざ頼むわけねえだろうが。」
「……なら、誰が。」



Aの言葉に、鷲匠は食い気味に返す。



「うちの選手だ。特に若利や工がな。」
「……皆さんが?」



鷲匠からの言葉は想定もしていなかったもので、Aは驚きのあまり言葉を失った。





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(プロフ) - 雨音が響いていますね切ないっ! (2020年5月20日 19時) (レス) id: 6b8ac95e5a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 228羽から239羽になっています その後も240羽〜になっています (2019年7月28日 17時) (レス) id: 429426fee2 (このIDを非表示/違反報告)
kusareneko11(プロフ) - 天童の童が道になってますよ (2018年1月23日 21時) (レス) id: 82b0fa55d3 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - Kitty*.。さん» 貴方様のコメントを受けて「可笑しいのか!?」と思って調べたところ真骨頂が正解でありました…!申し訳ないです!真骨頂の意味は最もいい状態みたいな感じです! (2016年12月29日 11時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
Kitty*.。(プロフ) - 216羽に最骨頂という言葉が出てきましたが、意味を教えてください (2016年12月27日 20時) (レス) id: 73d00c2580 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti  
作成日時:2016年10月8日 22時

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