242羽 ページ40
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白鳥沢にサーブ権が移り、大平のサーブ。それを東峰が拾い、影山がトスの体制に入った。
ここに来ても衰えないドンピシャなセットでボールを日向の元に届け、それを日向が打つ。少しばかり久しぶりの変人速攻だ。それは有効で、ボールは白鳥沢のコートにおちた。これによりサーブ権が戻ってくる。烏野は影山のサーブターンだ。
ホイッスルの後、影山がサーブトスをあげる。
「(サーブトス、いい。)」
影山とA。どちらもそう確信する。放たれたサーブの威力は確かだったが、それを大平は拾った。しかしボールはネットを越えて烏野のコートへ戻ってくる。チャンスボールだ。
レシーブがあがり、影山が落下地点で構える。再び走ってきた日向にボールがあげられた――が、それは天童に阻まれる。この終盤でも彼の嗅覚は衰えていないらしい。
「(天童先輩、ここにきてまだキレッキレ……。)」
Aは、ナイスと言葉を浴びる天童を嫌がるように目を細め視線を向けた。
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双方点を取り合うシーソーゲーム。盤面は未だデュース。
手に汗握る攻防が繰り広げられる中、サーブは白布。放たれたサーブがネットに当たり、そのままぎりぎりで烏野のコートに落ちていく。その瞬間を、澤村はスローモーションのようにじっと捉えていた。
「(分かってる……そこに落ちるって、分かってんのに……ッ。足が、動かない……。)」
疲れがたまり、思う通りに動いてくれない足。そんな澤村の横に飛び込んでボールを拾ったのは西谷だった。かろうじて上がったボールを牛島がダイレクトで打つ。それを乱れた体制のまま西谷がまたも拾ってみせた。
このたった数秒のプレーに西谷の才能が現れているのがよく分かる。会場、控え、ベンチ、様々な所で歓喜の声が漏れた。
西谷があげたボールを影山が東峰にあげ、それをブロックアウトをとって得点に繋いだ。
「サンキュー西谷!」
「烏野には俺アリっすから!!……でも、俺にもできないことがある。だから無理を承知で言います。太ももがはちきれようとも、空中戦は頼んます!」
守護神にここまで諭されて、奮い立たないものはいない。選手達は「おう!」と力強く頷いた。
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日向のサーブで試合が再開する。サーブを終えてレシーブに構える日向。そのポジションを見て、
Aはハッとした。
「……飛雄、!」
Aの言葉を受けて「わーってる!」と乱暴に返した影山は日向と無理矢理位置を交代させた。
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蘭(プロフ) - 雨音が響いていますね切ないっ! (2020年5月20日 19時) (レス) id: 6b8ac95e5a (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 228羽から239羽になっています その後も240羽〜になっています (2019年7月28日 17時) (レス) id: 429426fee2 (このIDを非表示/違反報告)
kusareneko11(プロフ) - 天童の童が道になってますよ (2018年1月23日 21時) (レス) id: 82b0fa55d3 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - Kitty*.。さん» 貴方様のコメントを受けて「可笑しいのか!?」と思って調べたところ真骨頂が正解でありました…!申し訳ないです!真骨頂の意味は最もいい状態みたいな感じです! (2016年12月29日 11時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
Kitty*.。(プロフ) - 216羽に最骨頂という言葉が出てきましたが、意味を教えてください (2016年12月27日 20時) (レス) id: 73d00c2580 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2016年10月8日 22時