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218羽 ページ26






澤村のサーブから試合が再開する。そのボールがつながれて牛島にあげられ、スパイクが打たれるも西谷がレシーブした。それでも乱され、烏野は安全に返球する。白鳥沢のチャンスボールだ。



「チャンスボール!」



声を張り上げた山形がレシーブし、セッターである白布へボールを送る。その仕草、足取り、表情。彼から発せられる全てから見て取れる焦りと苛立ちに、疑惑は確信へ変わる。



「(……キタ。)」



月島、と声をかけようとして、やっぱりやめた。目線をやった月島の表情は酷く集中しきっていたからだ。言わなくとも分かってる、そんな雰囲気を感じ取って素直に黙る。というか多分今はどんな言葉をかけたって彼の耳には届かないだろう。



「(――うちのスパイカーに……道を開けろッ!)」



白布が上げたトスが牛島の方へ向かう。そのトスを見て、Aは静かに口元を歪めた。



「(やっちゃいましたね、先輩。)」



コートから……いいや、月島から放たれる異様な空気を肌でいっぱいに感じながら、その空気に気圧されるままに笑った。




――ほんのわずか。苛立ちと焦りを含んだ綻びを……まってたよ。




思いっきり打ち下ろされた牛島のスパイクは、たった1枚の"壁"に当たって、コート外へ弾けた。


スローモーションのように、ボールの軌道を追う。そのボールが確かにラインの外へ落ちたのを見届けて、詰まっていた息が口からもれる。やっと呼吸ができたような解放感と爽快感が体いっぱいに広がった。



「しゃああああああ!!!!」



ピッ、と無機質な笛の音。そして今まさに"バレーにはまった"男の力強い叫び声が体育館中に響いた。




「おぉぉぉ!!」



両チームのベンチ、コート内、客席……様々な場所から歓喜の声が溢れる。会場は今日一番のボルテージをみせていた。




「ホントに……とめちゃった。若先輩のスパイクを……。」




信じていた。確かに信じてはいたのだ。しかし、Aは信じることと実現することの違いを痛く分からされたような気がした。

呆然とコート上を見つめること数秒。じわりと胸の奥からこみ上げてきた感情に従うように、いつの間にかつくっていた握りこぶしを胸の前にぐっと掲げた。



3年間絶対的エースであると信じ、恐れた彼の存在。彼のスパイク。それが今、ついに阻まれた。堕ちた強豪と呼ばれたチームの選手に……いや、"選手達"によって、絶対は打ち砕かれたのだ。湧きあがる興奮を胸に、Aは笑った。

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(プロフ) - 雨音が響いていますね切ないっ! (2020年5月20日 19時) (レス) id: 6b8ac95e5a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 228羽から239羽になっています その後も240羽〜になっています (2019年7月28日 17時) (レス) id: 429426fee2 (このIDを非表示/違反報告)
kusareneko11(プロフ) - 天童の童が道になってますよ (2018年1月23日 21時) (レス) id: 82b0fa55d3 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - Kitty*.。さん» 貴方様のコメントを受けて「可笑しいのか!?」と思って調べたところ真骨頂が正解でありました…!申し訳ないです!真骨頂の意味は最もいい状態みたいな感じです! (2016年12月29日 11時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
Kitty*.。(プロフ) - 216羽に最骨頂という言葉が出てきましたが、意味を教えてください (2016年12月27日 20時) (レス) id: 73d00c2580 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti  
作成日時:2016年10月8日 22時

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