202羽 ページ8
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その後もラリーが続き、また牛島のスパイクが決まる。11対5……相も変わらず烏野は追いつけないままだ。
「(でも……もう少し。)」
Aの拳を握る力が無意識のうちに強くなる。そしてただじっと西谷を見つめた。
ラリーが続いて牛島にトスが上げられる。それにブロックがタイミングよく飛んだ。きっちりクロスを閉めてある。
牛島が放つのは――ストレート。そこへばっちり構えていた西谷がそれを捕らえ、拾うが、腕に当たったボールはコート外へはじき飛んだ。
「(これで2球目。もう少し耐えれば……。)」
牛島のサーブから試合が再開する。強烈に放たれたサーブに田中が喰らいつくも、相手のチャンスボールとなった。
「チャンスボール!」
白布から上げられた先はまたも牛島。月島が懸命に喰らいつくも、タイミングが随分早い。
「(馬鹿、切羽詰ってタイミングはやいっ。)」
そのブロックは意味を成さず、ボールはコートに勢いよく叩きつけられた。悔しそうな表情の月島。どうやら自分でもタイミングのズレを理解しているらしい。
そして試合が再開し、つながれて牛島へ――
「違います!」
いち早く気づいたAがベンチから叫ぶ。その言葉を聞いた瞬間反応できれば間に合ったかもしれないが、そんなことコート内では容易でない。
牛島へはあげられなかったボールに遅れて気づいた月島だったが、1秒の遅れもバレーでは致命的なミスになる。そのまま川西にスパイクを決められた。
「(月島……もっと、こう……。なんか、おしい。)」
Aはベンチから形容し難い歯がゆさを感じていた。
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その後、川西のサーブミスにより烏野……東峰へサーブ権が移る。放たれたスパイクをつないだ白鳥沢。ボールがセッターである白布の元へやって来た。
「月島、見て!」
Aが再びベンチから叫んだ。月島はそれをしっかり聞き、こちらからでも分かるほど驚異的な集中力でボールを見る。
白布があげた先は牛島。けれど月島は、しっかり反応してブロック飛んだ。――しかし、それは単純な問題だった。牛島は月島のブロックを関係なしに吹き飛ばしたのだ。
この得点により18対8。10点差をつけられたままテクニカルタイムアウトに入った。
「(今のブロックは悪くない。でも多分指ついてるね……。)」
選手達が帰ってくる中でAは真っ先に月島の元へ向かった。
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蘭(プロフ) - 雨音が響いていますね切ないっ! (2020年5月20日 19時) (レス) id: 6b8ac95e5a (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 228羽から239羽になっています その後も240羽〜になっています (2019年7月28日 17時) (レス) id: 429426fee2 (このIDを非表示/違反報告)
kusareneko11(プロフ) - 天童の童が道になってますよ (2018年1月23日 21時) (レス) id: 82b0fa55d3 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - Kitty*.。さん» 貴方様のコメントを受けて「可笑しいのか!?」と思って調べたところ真骨頂が正解でありました…!申し訳ないです!真骨頂の意味は最もいい状態みたいな感じです! (2016年12月29日 11時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
Kitty*.。(プロフ) - 216羽に最骨頂という言葉が出てきましたが、意味を教えてください (2016年12月27日 20時) (レス) id: 73d00c2580 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2016年10月8日 22時