:Happy Birth Day ページ28
1年前の今日、私たちは何をしていただろう。その頃から私を思ってくれていた彼と、そんな彼の誕生日すら知らなかった私は、私たちは……今こうして、互いが互いを思っているなんて予想できていただろうか。
いや、できるわけないよな。だって彼の存在すら、私はきちんと知らなかったんだから。
凄い人が隣のクラスにいると知って、知り合って、かと思えば突然変な形で告白されて。部活を見に行ったり、一緒に帰ったり、遊びにも行ったりもしたっけ。そうやって少しずつ、私は彼に惹かれていった。
今思えばあまりに全てが不器用でフィクションみたいな日々だ。でも、なんというか……それも私達らしいとは、今でも思う。
『俺のこと好きになってもらえるよう、努力してもいいか?』
「……ふふ。」
思い出したら少しくすぐったくなってしまうような、彼からの初めての告白。彼の方を一瞬見て笑ったからか、馬鹿にされていると思っているらしい彼が「何だよ。」とじとりとした目でこちらを見つめている。「何でもないよ。」って言っても納得いかないみたいで、彼はむっと眉をひそめた。
「ねえ、光来くん。」
そっと名前を呼んでみれば、不満そうな顔は不思議そうな色に変わる。きょとんとしたその顔と目が合って、どうしようもないくらい胸がぎゅーっと痛くなった。でもいやじゃない……とても、幸せな痛みだ。
「本当に……本当に、ありがとうね。」
「……?何だよ急に。」
やり辛そうな顔でびみょーな顔をみせる光来くんに笑う。そしたら光来くんも、まあいいかって様子で呆れたみたいに笑った。
貴方が私を選んでくれて、あの日想いを伝えてくれたから。私は今こうしてとっても幸せでいられてる。貴方の一番幸せな日に隣で笑っていられる。あぁ、なんて……なんて贅沢なんだろう。
4月16日。今日は貴方が生まれてきてくれた日。貴方にとって、私にとって、とっても大切な日。
「大好きだよ、光来くん。」
「なッ、お前、!!」
顔を真っ赤にして慌てる姿が何だか久しぶりだ。「もう慣れたと思ってた。」とくすくす笑えば、「うるせ、」と尚も真っ赤な顔で口を尖らせる光来くん。何気ない日常、その全てが妙に色づく。誕生日の魔法にかけられて、全てが輝く。
来年も、再来年も、一緒にお祝いしよう。少なくとも私はそのつもりだから、光来くんもあと70年くらいは一緒に私の誕生日祝う覚悟しといてね。
「お誕生日おめでとう。」
世界で一番、大好きな人。
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ましゅ(プロフ) - さいっこうに最高なお話でした。2人のよさも可愛さもギュッと詰まってて、光来くん〜〜〜〜!!!って悶えました、天才です……幸郎も解釈が一致すぎて……ギュンギュンしました、最幸のお話をありがとうございます!! (2021年4月30日 3時) (レス) id: 01c5a5310c (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - お誕生日!!!最高です!ありがとうございます!! (2021年4月17日 9時) (レス) id: 299227e86e (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» 楽しみにしてますね!ゆっくりで良いのでこれからも頑張ってください! (2020年5月8日 8時) (レス) id: 2b0a425061 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - あおりんごさん» 1番だなんて勿体無いお言葉です…!嬉しすぎます…!コメントありがとうございます、とても自身と励みになります…。楽しんでいただける作品を提供できて幸せです、!コメント並びにご愛読いただきありがとうございました。これからも頑張ります〜! (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 紫音さん» レス遅れちゃってすみません…!ずっと応援していただいてありがとうございましたぁぁ…!紫音さんのお声に本当に励まされました(*´`)絶対また作ろうと思っているので、その時はまたぜひお付き合いください、!本当にありがとうございました…!! (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年3月30日 23時