74 ページ24
・
・
光来くんの真っ直ぐな瞳に捕らえられて、視線の逃がし場所を失う。最初の頃と同じ……逸らしづらい目だ。
「……俺は、今もこれからもずっとバレーを続ける。放課後も休日も部活ばっかりだと思う。」
「……うん。」
頷いて相槌を打つ。今はまだ彼の話を聞く時間。
「だからAには……何つーか、寂しい思いをさせることになる。ごめ、」
「謝らないで。」
光来くんの謝罪の言葉を遮って言う。私の言葉に光来くんは目を見開いていた。そんな彼に一歩近づいて、彼の手をとって包み込む。心からの気持ちを伝えたくて、気づくとそうしていた。
「私ね、楽しそうにバレーをしてる光来くんをかっこいいなと思ったの。あまりにも眩しかったから……だから余計、私なんかでいいのかなって悩んで、自分の気持ちに蓋してた。光来くんの重荷にはなりたくなかったから。」
無意識に光来くんの手を包む手に力が入る。それは多分、ずっと抱えてきた悩みだったから。
光来くんのバレーを見て、彼が凄い人だって認識すればするほど不安になった。付き合うことで自分は彼の重荷になってしまわないだろうかって、彼のバレーを邪魔してしまわないだろうかって。心の中で葛藤して、それでも付き合うことを選んだ理由なんて単純。
「それでも貴方が私を好きで居てくれたから、私は貴方が好きだったから……傍に居たいと思えた。私は全部理解して、全部望んで光来くんを選んだんだよ。だから謝られたらヤダ。」
ぐちゃぐちゃな言葉になってしまったけど、体裁なんてどうでもいい。ただ光来くんへ正直な想いを伝えたかった。
光来くんは変わらず驚いた様子で私を見つめている。そんな彼に微笑みかけて手を離せば、光来くんは自由になった手を額に当てて俯いた。
「悪い……俺かっこ悪ぃな。」
「……光来くんはかっこいいよ。誰より。」
そんな私の言葉を笑い飛ばして、穏やかに顔を緩める光来くん。それから少し目を細めたかと思うと、一歩距離をつめた彼は私の背中に手を回した。すっぽりと光来くんの腕の中に納まって、一瞬焦ったけれどすぐ身体を預ける。光来くんの腕の中はとっても落ち着く。
「寂しい思いはさせるかもしれない……でも、俺は絶対Aの隣に居る。これから、ずっとだ。」
「私も、光来くんから離れないよ。」
胸いっぱいの幸せを感じながら、私も彼の背中に手を回した。とっても……とっても幸せだ。
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 551人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましゅ(プロフ) - さいっこうに最高なお話でした。2人のよさも可愛さもギュッと詰まってて、光来くん〜〜〜〜！！！って悶えました、天才です……幸郎も解釈が一致すぎて……ギュンギュンしました、最幸のお話をありがとうございます！！ (2021年4月30日 3時) (
レス) id: 01c5a5310c (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - お誕生日！！！最高です！ありがとうございます！！ (2021年4月17日 9時) (レス) id: 299227e86e (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» 楽しみにしてますね！ゆっくりで良いのでこれからも頑張ってください！ (2020年5月8日 8時) (レス) id: 2b0a425061 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - あおりんごさん» １番だなんて勿体無いお言葉です…！嬉しすぎます…！コメントありがとうございます、とても自身と励みになります…。楽しんでいただける作品を提供できて幸せです、！コメント並びにご愛読いただきありがとうございました。これからも頑張ります〜！ (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 紫音さん» レス遅れちゃってすみません…！ずっと応援していただいてありがとうございましたぁぁ…！紫音さんのお声に本当に励まされました(*´｀)絶対また作ろうと思っているので、その時はまたぜひお付き合いください、！本当にありがとうございました…！！ (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2020年3月30日 23時
