36 ページ36
・
・
「……なんだそれ。」
ひとり残された人通りの無い空間。先程の会話を思い起こしながら、小さく呟いた。
昨日光来で遊ぶなと言ったとき、あいつは黙りこくった。眉を下げて口を結び、斜め下向いて突っ立ってたんだ。どうせ図星つかれて言い訳の言葉も見つからねえんだろうと思った。所詮その程度で、今後関わってくることはなさそうだなって、そう思った。
でもどうだ、まさか次の日に単身で俺の元にやってくるとは。それも昨日とはまるで別人みたいに、俺の目を見てはっきり自分の意見を伝えていた。
今は自分も光来も互いを友達と認識していること、決して自分は光来で遊んでいるわけではないこと。約束ってのはなんとなく聞いた"好きになってもらえるよう努力する"っていう光来の言葉のことだろうか。とにかく、アイツは光来との約束を大切にしていること。仕舞いには嫌味言った俺にありがとう、って。
あまりにも真っ直ぐな態度で、濁りの無い瞳で伝えられた事実に言葉を失ったのは俺のほうだった。堂々としたアイツの態度が光来に重なって、俺は幸郎の言葉を思い出す。
『あの2人、ビックリするくらい不器用で、素直で、純粋なんだ。』
『分かんねえ……俺は信用できない。』
『いつか芽生にも分かる時が来るよ。』
ああ、そうか。こういうことだったのか。確かにそうだよ幸郎……あの目は同じだ。嘘とか吐けない不器用で素直なタイプのヤツ……光来と一緒だよ。
「……何だ、面白いじゃねえか。」
どうやら早とちりしていたらしい。アイツ……(人1)と光来、似たもの同士のこいつらの恋愛がどうなるのか……少し興味が出てきてしまった。となれば、俺も幸郎と一緒にこいつらをサポートしてやらねえと。超がつくほど不器用なこいつらのサポートを。
・
「あ、Aお帰り!どうだった?」
「ちゃんと説明はしてきたけど……伝わったかなあ。」
ため息をつきながら椅子に座った友人、Aの顔は不安そうだった。その様子は本気で悩んでいる、って感じだ。
Aは星海くんのことを好きになってはいないという。今回の白馬くんのことだって、「星海くんとの約束があるから。」とはいっていたけど……にしても彼女がここまで行動を起こすのは珍しい気もした。
実際好きではないのかもしれない。でも兆候は見えてるよな〜って……言っても否定するだろうけど。
・
・
588人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤兎リエ輔(プロフ) - 檸檬さん» レス遅れちゃってすみません…!初々しさを目指しているので、そう感じていただけているようでとても嬉しいです…!初々しさ全開で頑張ります笑 コメントありがとうございます、これからもよろしくお願い致します〜! (2020年3月30日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 初々しいの好きです!!!!!!!!!!!! (2020年3月20日 19時) (レス) id: bb7087dd1f (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - なつなつきさん» 謝らないでください〜コメントとってもありがたいです涙 私としてはにやけながら楽しんでいただけているようで嬉しい限りです…! これからもっとにやにやさせられるよう頑張りますので電車での閲覧ご注意くださいっ笑 (2020年3月17日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - lonkuuさん» その甘酸っぱさを目指しているのでそのお言葉が嬉しいです…!!楽しんでいただけているようで何よりです…涙 お褒めの言葉、応援の言葉ありがとうございます。もっと好きになってもらえるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年3月17日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» またコメントすみません!電車で読むの間違えたぁぁっ。となってます。にやにやが止まりません! (2020年3月17日 11時) (レス) id: 0034c747bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年1月19日 1時