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ふんっ、と鼻を鳴らして意気込む昼休み。ひとつ深呼吸をしてから、私は5組のドアから教室内を覗いた。流石に2mの長身は一瞬で目に飛び込んでくる。彼、白馬くんは4間の荷物整理をしているところらしかった。
きちんと、自分の思いをはっきり彼に伝える。昨日の今日でまだ彼への苦手意識は消えないけれど、このまま光来くんとの関係を黙って絶つことのほうが私にとってはよっぽど苦痛に感じた。だから、ちゃんと説明をしようといざひとりで彼のクラスにやってきたのだ。
昨日みたいにぴしゃりと跳ね除けられるんじゃないかという不安と恐怖。半ば勢いに任せて教室内に足を踏み入れ、一直線に彼の元へ向かった。
彼の机の前で足を止めた私と彼の前があって、白馬くんは驚きに顔を染める。
「……お話、いいかな。」
ぐっと眉を寄せた後、白馬くんは「来い。」と席をたったので、私もそれに続いた。
人通りの少ない場所に出て、こちらに向き直った彼の顔は変わらず険しい。2mの男の人にこうも不機嫌をあらわにされて少し怖いけれど、ぐっと堪えた。
「で、話ってなんだよ。」
「昨日の、光来くんについてのこと。白馬くんに言われたことを否定する権利があるのか、私には分からなくて……。」
あの日の光来くんの言葉を思いだす。はっきりと正面から伝えてくれた彼の好意は私を勇気付けてくれた。
「でも、光来くんの気持ちで遊んでいるつもりはない。それだけはちゃんと……はっきりいえるから。」
彼の目を見つめてはっきり言えば、白馬くんは少しだけ瞳を揺らしたように見えた。とはいえそれも一瞬で、直ぐに昨日と同じような雰囲気を取り戻す。
「言葉だけなら何とだって言える。俺が言いたいのはアイツとの関係はっきりさせろってことだ。お前にとって光来は何で、どうなりたいんだ。」
「お友達だよ。それは私も、光来くん自身も分かってる。……でも私は光来くんと約束したから。」
「約束……?」
訝しげな彼に頷く。私は光来くんの宣言してくれた"努力"を受け止めて、何時か訪れるであろう彼がもう一度思いを告げてくれるその時に答えを渡す。光来くんと約束をしたから、そこは曲げちゃいけないんだ。
「光来くんとお友達になったっていう現状が楽しくて、大切なこと忘れてた。だから白馬くん、思いださせてくれてありがとう。」
真っ直ぐ伝えてくれた光来くんのように、私も彼を見据えて笑う。嫌味とかではなく、これは確かな本心だ。
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赤兎リエ輔(プロフ) - 檸檬さん» レス遅れちゃってすみません…!初々しさを目指しているので、そう感じていただけているようでとても嬉しいです…!初々しさ全開で頑張ります笑 コメントありがとうございます、これからもよろしくお願い致します〜! (2020年3月30日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 初々しいの好きです!!!!!!!!!!!! (2020年3月20日 19時) (レス) id: bb7087dd1f (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - なつなつきさん» 謝らないでください〜コメントとってもありがたいです涙 私としてはにやけながら楽しんでいただけているようで嬉しい限りです…! これからもっとにやにやさせられるよう頑張りますので電車での閲覧ご注意くださいっ笑 (2020年3月17日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - lonkuuさん» その甘酸っぱさを目指しているのでそのお言葉が嬉しいです…!!楽しんでいただけているようで何よりです…涙 お褒めの言葉、応援の言葉ありがとうございます。もっと好きになってもらえるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年3月17日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» またコメントすみません!電車で読むの間違えたぁぁっ。となってます。にやにやが止まりません! (2020年3月17日 11時) (レス) id: 0034c747bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年1月19日 1時