【ヒロアカ】重力操作系少女は合同戦闘訓練をするそうで。Ⅸ (ページ29)

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何故か溢れる涙に相澤先生は少しだけ笑っていた。時間を大事にしている相澤先生が私の涙が止まるまで何も言わないでじっと待ってくれていて、その優しさがやっぱり心地いい。

ひとしきり涙を流し、声が出し辛くなくなったくらいで、相澤先生は私に問いかけた。

「お前が卑屈な理由は分かった。だが訓練後の緑谷への態度は何だ？劣等感ですを理由にするには爆豪や八百万とは普通に話せてただろ。」

一回鼻をすすってから目元を擦り、「それは……。」と少し口ごもる。それでもさっきの全てを受け止めてくれるという相澤先生の発言がやっぱり私の中で大きくて、一息ついてから話し始めた。誰にも話せなかった、私の本音を。

「中学時代、デクくんとかっちゃんは今以上に仲が悪かったんです。2人の幼馴染で間に立っていた私はかっちゃんをひとりにするのは駄目だって思って、デクくんの優しさに甘えてかっちゃんと行動を共にすることが多かったんです。

少なからずその時点でデクくんには負い目があって、高校でたくさん彼に助けられる中で徐々にそれも膨らみました。中学生の頃彼の優しさにかまけた私に、彼はずっと優しくいてくれたから。

だから私も、私が彼を助けなくちゃって思ったんです。デクくんだけじゃない、馬鹿で不器用な幼馴染ふたりを守りたい、って。」

前置き的な内容を話したところで一息つく。変わらず相槌をつく先生に、私は続けた。

「……訓練の途中、物間くんに平和の象徴を終わらせた私が何故笑っていられるのかって言われました。

オールマイトはデクくんの大好きなヒーローで、私がかっちゃんに着いていった期間にデクくんの希望となって彼を支えてくれていた人物です。その人を私が原因で終わらせてしまったことが……私の中にたくさん充満していたんだと思います。

私が彼を守らなくちゃいけないっていう思いと、何より大きいその負い目が触れ合って、誰かを頼るってことを忘れてしまったんです。そこにデクくんの個性の暴走っていう予期せぬ事態が起こって、自分だけでどうにかしなくちゃとばかり思ってしまいました。

仲間のピンチに……冷静でいられなかった。勝手な思いが先走って結局何も出来なかったから、デクくんに申し訳なくて……。」

話し終えて相澤先生の目を見れば、先生は何を言っているんだとでも言いたげにまぶたを半分落としていた。そのじっとりした目に戸惑って「え、え？」と焦る私に先生は深いため息をついてみせた。