【ヒロアカ】重力操作系少女は合同戦闘訓練をするそうで。Ⅸ (ページ21)

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庄田くん達と対峙しながら、ちらりとデクくん達のほうを見た。そこには心操くんの捕縛布からお茶子ちゃんを助けるデクくんの姿があって、もう個性は大丈夫そうだと安心する。それと同時にやっぱり自分が不甲斐なくなった。

私は……デクくんを助けられなかった。"私が"デクくんを助けなくちゃって、そんな勝手な使命感で動いてお茶子ちゃんのように心操くんの個性に頼るという考えが出来なかったのだ。

ワンフォーオールのことを知っている。彼の幼馴染である。彼の大好きなオールマイトを終わらせた。そして……中学時代彼を助けてあげられなかった。私の中に溜まっていたデクくんへの負い目が物間くんの言葉をうけて自分の知らないうちに膨らんでいたんだろうと思う。

私が彼を守らなくちゃいけない、守りたい。そんな自分勝手で結局彼を苦しませてしまったんだ。

「(……悔いてる暇ないよね。)」

ぎゅっと唇を噛み締め、自分に言い聞かせる。今だってすぐにでもデクくん達の救援に行きたいけど、ひとりの勝手でチームは崩壊する。私は今ここで戦って、勝ちへのサポートという形でデクくんを助けるんだ。

そう決めて、私はあたりの小さいものをどんどん浮かせていく。少しでもポルターガイストで操る物を減らすだけで大分違うはずだ。

三奈ちゃんの様子を見れば酸を放出しての攻撃を続けていた。そんな彼女に庄田くんがハンドル状の物を投げ、ツインインパクトでその威力を倍増させた。「三奈ちゃん！」と彼女に注意を促した直後、こちらにもそれが飛んでくる。

今私は右の個性で浮いている状態。向かってきている物体は直進しか出来ないから、その前方の空気を下げれば防げる……文化祭以前から取り組んできていた個性の同時使用、試すときだ。

大丈夫、絶対出来る。凄いすごいって羨むばかりじゃ駄目なんだ……もう誰も傷つけさせないために。私だって変わり続けなくちゃいけないんだから。

「同時化(シンクロナイズ)。」

左腕を向けて、脳内で物体と自分の距離を升目上に細分化する。その升目数個分の空気の固まりをイメージして手首を下げると、そこにさしかかったハンドル状のものは突然軌道を変えて落下していった。それと同時に私も若干降下した。

私にも個性が及んだから少しの乱れはあったけど……成功、したんだ。インターンではほぼ無意識的だったから、実質今が初めて……！

って、喜んでる場合じゃないか。まずはこの勝負に絶対勝つんだ。