【ヒロアカ】重力操作系少女は合同戦闘訓練をするそうで。Ⅸ (ページ13)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:101,693 hit

396 ページ13

・
・

「止まれ！いる！」

かっちゃんが足を止めて声を上げる。それから響香ちゃんに敵の位置を探れと促し、それに従ってプラグを指した響香ちゃん。「はよしろや！」と催促するかっちゃんに対して響香ちゃんも叫んだ。

「待って……やっぱやられた！！」
「ハイしゅーりょー。」

突然かっちゃんの背後に現れたのは取陰さんの"口"だった。他にも、目を凝らせばいろんなパーツが辺りに散布しており、そのひとつひとつが建物にぶつかって音を立てている。響香ちゃんの言うやられた、とはこういう事だったのだ。

これは取陰さんの個性、トカゲのしっぽ切り。全身をバラバラに切り離して行動できるというものだ。ちょっと恐ろしいけど……。

細かなパーツたちがかっちゃんを攻撃する。様子的に威力はそれほど無いみたいだけど、何せ数が多いし的も小さい。多方向から攻めてくるパーツを煩わしそうにしているかっちゃん。

瀬呂くんは自分達の立っている領域を覆うようにテープを張り巡らせた。これで取陰さんのパーツが飛んできてもテープが邪魔でろくに攻撃できないだろうという算段だ。――しかし、ここでもB組の計画は一歩先を行っていた。

突如として振ってきたのは凡戸くんの射出した接着剤。それはテープにくっついて滴りおちる。瀬呂くんが確立させた領域は、その接着剤によって逆に逃げることとの出来ない領域となってしまった。

そして今度は鎌切くんが上から接着剤のついた建物を破壊。上から落ちてくる瓦礫に触れればくっついて動けなくなるだろう。

「A組の動きが全部逆手に……！」
「完全に読まれてるね。」

せめて瀬呂くんと響香ちゃんだけでも守ろうと、砂藤くんが瓦礫に手を伸ばす。しかし、それらは横からかっちゃんが吹き飛ばしたことによって3人に落下することは無くなった。

取陰さんのパーツに惑わされながらもちゃんと3人のピンチが見えてる……やっぱりその辺の対応力は褒めるしかないね。

しかし、遮へい物が無くなり攻撃しやすくなってしまうのも事実。鎌切くんは3人の元へ降り立ち、まずは一番厄介な響香ちゃんとリタイアさせようと背後に回った。それに気づいたかっちゃんが飛び出す。

響香ちゃんの背中を足場にし、襲いかかろうとしていた鎌切くんと響香ちゃんの間に割ってはいったかっちゃん。そしてそのまま至近距離で爆破をお見舞いした。

――助けて勝つ、勝って助けるヒーロー。

あの日オールマイトに言われた言葉が脳裏を掠めた。