第２２９話 ページ29
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熾烈なラリーを制し、その都度観客へかっこよくポーズを決める3人。しかしコート上にたった1人、白石のみが未だにポーズを決められないでいた。
「白石くん……。」
昨晩のことを思い出して思わずつぶやく。その呟きに反応した徳川と入江が不思議そうな顔をした。
「彼に何かあるのか？」
「あ、いや……昨日ちょっと色々。」
徳川からの問いかけに笑って答え、昨晩を思い出した。自分のプレースタイルに悩んでいた白石。最終的な答えは自分で出せなくては意味がないから、核心的な答えが出る前に彼の元を去っている。結局あの後答えは見つかったのか、それすらも分からないままだ。
白石はトリスタンのドロップショットに翻弄され、得点を許す。それがゲームポイントとなって、相手に1ゲームを先取されてしまった。
ベンチに戻ってきた白石と君島の様子を遠くから見つめる。椅子に腰掛け、顔に手を当てて俯いている白石だったが、その顔つきには絶望も諦めも見られなかった。大丈夫なやつだ、とAは確信する。
「白石くん。
君島が白石にそう声をかけるのが聞こえた。入江と顔を見合わせて、お互い砕けたように笑う。先に1ゲームを取られたからと言って焦る必要はない、2人を見ているとそう思えた。
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トリスタンのサーブで第2セットがはじまる。白石がそれを手堅く返球すれば、「もっと打ってこいよ！ホワイトストーン！」と声をかけながら、トリスタンは白石のほうへボールを打った。
拾うべきは白石、しかしそこに君島が飛び込んで、ダイレクトでそのボールに触った。会場全体がどよめき、Aもまた目を見開く。
高く上がったボールをパリコレが鋭いスマッシュで打ち落とした。決まったかと思われたボールだったが、君島はスマッシュのコースを呼んでそれすらも打ち返す。
「一つ……水面のように。」
後衛の白石に全く手をつけさせないプレー。これではまるでシングルスだ。
「君島さん……白石くんに見切りをつけたんでしょうか？」
「……いいや、それが無謀な手だと分からないほど感情的な人じゃないはずだ。」
徳川の言葉にそれもそうかと納得したけれど、ならば尚更分からない。一体何故、無謀と分かりきった手を選択しているのか。後衛でたつだけの白石は何を思っているのか。
日本にとって後の無いセット、その行方にAはじっと目を向けた。
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紗菜 - アニメがまた、スタートするのでこちらも更新されるのをお待ちしています。 (2月15日 19時) (
レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき - 続きが楽しみです (2021年9月22日 0時) (レス) id: 09253d858e (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 素晴らしい作品！夢主ちゃん格好可愛いすぎます！ (2021年1月3日 15時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
巫和泉(プロフ) - コメント失礼します！読んでいて，とても面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年1月4日 18時) (レス) id: c314aa38cf (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 更新待ってます!続きが楽しみです。 (2019年11月7日 8時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2019年3月18日 0時
