第１７８話 ページ28
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「本当に手がかかるよね。」
僕の言葉に、鬼は「はぁ？」と眉間にしわを寄せた。その顔は何を言っているのか分からないという感情をそのままにうつしている。あまりに分かりやすく、素直な鬼に笑みをこぼしてから「徳川くんとAちゃんだよ。」と告げた。
2人の名前を受けてやっと話したいことが伝わったのか「あぁ……。」と鬼も目を細める。
「不器用というか鈍いというか……。」
「あれがアイツらなりのペースなんだ。あんま介入しすぎんのもよくねえだろ。」
鬼のいう事は尤もで、僕だってそれくらい分かっている。分かった上で、介入のしすぎはよくないと念頭に置いた上で話しているのだ。それほどに2人の関係は見ていてむずがゆい。
というのも、お互いがまだ"何にも"気づいていないのだから厄介だ。傍から見たらこんなに分かりやすいのに当事者が気づいていないとは一体どういうことなのだろう。
ここまで確証もなかったから明言は避けてきたけれど、今はっきり言おう。あの2人の関係は先輩後輩だとか、仲がいいとかそんなもんじゃない。お互いにとってお互いが何より特別で大切な存在であるはずなのに、それに2人は気づいていないのだ。
いや、Aちゃんは徳川くんのことがよっぽど特別な存在だとは分かっているだろう。けれどその本当の理由、つまりはそこに働く感情に気づいていない。
Aちゃんは自分が徳川くんのために感情を激しく動かしたりするのは憧れだから、そう思っている。徳川くんにいたっては自分がAちゃんのことになると目の色を変えることに気づいていてもいないだろう。
「ふたりとも良くも悪くも馬鹿だからね。」
今もAちゃんは徳川くんを探しに出て行った。あまりに不器用な2人に笑うと、鬼は何か言いたげに僕に視線を送る。ん？と首をかしげて彼を見上げれば、鬼は真っ直ぐ僕と目をあわせた。
「馬鹿はおめぇもなんじゃねえのか？」
「……どういう意味？」
鬼に笑みを浮かべながら聞き返す。そんな僕に深くため息をついた鬼が「演技、腕下がったんじゃねえか。」と小さく告げた。
演技にケチをつけられたことにカチンときたけれど、今はそれについて追求する余裕はなかった。事実、気づかれないように振舞っていたはず。それなのに鬼に気づかれているなんて僕の腕もなまっているのかもしれない。
大事な後輩だからね、そういって笑えば鬼は少し切なそうな顔を見せた後、そうかと視線を逸らした。
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赤兎リエ輔(プロフ) - ミズチーさん» とても温かいお言葉を…ありがとうございます…！！どうにか乗り越えてきます！そのお言葉が本当に頑張る糧になります…更新は遅いですが、ご期待に沿えるよう精一杯頑張らせていただきます！ (2019年2月20日 0時) (
レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 蜜さん» ご愛読ありがとうございます！感謝感激でもう…感無量です…！応援の言葉ありがとうございます、とても励みになります！少々お時間はいただきますが、気長にお待ちいただければ幸いです(*´｀) (2019年2月20日 0時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
ミズチー - テスト大変だと思いますが、頑張ってください！とても面白いので更新遅くても待ってます！ (2019年2月19日 21時) (レス) id: 402d306b68 (このIDを非表示/違反報告)
蜜(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます。テスト大変だと思いますが、更新心待ちにしております。頑張ってください！ (2019年2月19日 16時) (レス) id: 372926e5f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2019年2月18日 3時
