【テニプリ】 U‐１７の１番コートには女の子がいるみたいです。2 【U‐１７】 (ページ23)

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第７３話ページ23

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「それより毒手って一体……？」
「あぁ、金ちゃんごねたら言うこときかんからこの包帯外したら毒が出るでって脅し取るだけや。」

「勘違いはなしやで。」とクスクス笑う白石にAも思わず笑顔になる。そしてAがじゃあその包帯の意味はなんなのか、と聞こうとしたときだ。

「Aちゃん、やっぱりここにいた。」
「あ、入江さん！」

3人の元へ訪れ、Aに声をかけたのは入江だった。ジャージ姿ではあるがラケット等は持っておらず、練習をしにきたわけではないらしい。

「どうかしましたか？」
「鬼が探していたよ。中学生が集まっているのは知っていたから、いるとしたらここじゃないかなって。」
「え、鬼さんが私を？すぐ行きます！」

慕っている人物からの召集があれば誰でもすぐ駆けつけるだろう。それはAも同じで、鬼が自分に用事があるとなればすぐにでも駆けつけたいと思った。

それから越前に向き直って、両手を顔の高さで合わせ謝罪のポーズをとる。

「ごめん越前君、試合はまたの機会で……！」

そういうと越前に背中を向けて入江と歩き出す。ちょっと、と背後から引き止める声が聞こえたので、足を止めることなく首だけ振り返って「シャッフルマッチ、当たると良いね。」と挑戦的な笑みを向けた。

白石くんもまた明日、と告げて今度こそ振り返ることなく入江とともに鬼の元へ向かった。

「鬼、入るよ。」
「失礼しまーす。」

入江に続いて部屋に入ると、ペットであるハムスターに餌をやる鬼の姿があった。もうひとりの同室者、徳川はいないらしい。

「鬼、Aちゃん連れてきたよ。」と入江が声をかけるのとほとんど同時に鬼がこちらを向いて、よおと挨拶をする。こんばんは、と笑うとゲージをしっかり閉めたのを確認した鬼が立ち上がった。

「悪いな、わざわざ呼び出して。」
「いえいえ。なにかご用事でしたか？」
「大したことじゃねえんだが……またお前にマッサージを頼みたくてな。」

別に心得があるわけではないが、Aはマッサージが上手い……らしい。鬼の疲労を労るようにはじめた軽い肩もみが気持ちいいと評判になって、全身でやってみたら最高だったのだとか。

それから時々マッサージを依頼されるようになった。その時の見返りは決まってひとつ。

「じゃあまたテニスしてくださいね！」
「任せろ。」
「僕もお願いしちゃおうかな。」
「ふふふ、テニスしてくれるならいいですよ～！」