【テニプリ】 U‐１７の１番コートには女の子がいるみたいです。2 【U‐１７】 (ページ15)

今日:5 hit、昨日:21 hit、合計:163,540 hit

第６５話ページ15

・
・

「9球打ったくらいじゃ自慢にならないね！」

そういった越前が持っていたのは1球のボール。それをサーブトスの要領であげると、9つの球と一緒にその1球を打った――つまり、10球を同時に打ったのだ。

1球の壁を越えることはある程度予測していた……それでもまさか、10球に到達するとは。

越前の打った10球のうち、1球が決まる。それも右端の右サイドに。

「40-30……。」
「いや、ゲームだ。……宣言どおり俺の右を抜いた。俺の負けだ。」

潔く負けを認めた右端に、越前が「どうも。」とお礼を伝えた。負け組み中学生たちに2番コートが敗北した、その事実に場が静まり返る。

そんな時、その静寂を払うように放送が響いた。

「選手諸君に報告があります。監督の意向により、中学生負け組27名を2番コートに認定します。」

黒部の声でしっかりと告げられた認定の言葉。「いよっしゃああ！！！」と中学生達が大きく沸き、体いっぱいでその喜びを表現して見せた。久々の再会を喜ぶ者もたくさんいる。

負け組みの中学生達の頑張りを間近で見ていたからこそ、Aはその光景に頬が緩んだ。

「嬉しそうだな。」
「……はい。とても。」

鬼からの言葉に笑みを返す。徳川の方を見ると、じっとコートを見ていた。そしておそらく……その視線の先には越前がいる。越前もこちらを見ていたからだ。

会話を交わすでもなく、笑みを向けるでもなく、徳川は越前に背中を向けた。と、次にAが越前と目が合う。私情を切り捨て笑顔を作り軽く手を振ると、越前も少しだけ会釈をしてみせた。

「……A、練習の後自主練に付き合おう。10球打ちを俺に見せてみろ。」
「えっ……は、はい！」

突然の徳川からの言葉に少し驚いたが、すぐに返事をする。Aが誘うばかりで、徳川から練習に誘うことは少なかった。だからこそ余計に嬉しかったのだ。

その後のサーキットを初めとした過酷な練習も、徳川に練習を付き合ってもらえることを思えば気持ちも逸り苦ではなかった。

・
・