【テニプリ】 U‐１７の１番コートには女の子がいるみたいです。2 【U‐１７】 (ページ30)

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第８０話ページ30

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「ゲーム水瀬、6ゲームストゥ4！」

審判からのコールがかかり、互いの体の力が抜ける。試合は終わった、Aの勝利という結果で。Aはなんとか1番コートを死守できた。その事実にため息をひとつついて、ネット際まで移動する。

丸井も少し悔しそうにした後に寄ってきて、にこりと笑って手を差し出した。

「楽しかったぜ、水瀬！」
「Aでいいよ。こちらこそ楽しかった！」

力強く握手を交わしてお互い笑う。勝ち負け関係なくこうして笑顔で終わることができるスポーツ、それがテニス。いつも試合終わりのこの瞬間に改めてテニスが好きだという事を感じる。

コートを後にすると、真っ先に入江に「お疲れ。」と声をかけられた。ありがとうございますと笑えば入江も笑う。

「無我まで使うとは、相当楽しんでたな。それとも苦戦したか？」
「むっ……楽しかったんですー！」

鬼からのからかうような言葉に反論すると、「どうだかな。」と返された。ただ実際、丸井の妙技に翻弄されたのは事実。4ゲームとられていることがその例である。ギリギリだった、とは言わないが簡単ではなかった。

未だ何も言葉を発していなかった徳川と目があった。何か言ってくれるだろうか、と目を合わせ続けていると彼からは冷たい一言が飛ぶ。

「そんなに駄目だしされたいか？」
「……遠慮しておきマス。」

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その日の夕方。Aは齋藤に呼び出されとあるお願いをされた。というのも大層なものではなく、『花壇の花に水をやってほしい』というなんともいえないものである。

なんでも手が離せないらいしく、がさつな男に任せるより女子のAに頼もうと思ったのだとか。

別に面倒とは言わないが、それでも壁うちにでも行こうとしていたところを引き止められた分のもやがあった。しかしそれは花壇に行けば自然と消える。改めてみるとやはり花というものの綺麗さに気づいたからだ。

夕焼けを浴びて淡くオレンジ色を待とう色とりどりの花々。規模は大きくないが充分に綺麗だ。

齋藤に言われたとおり水をやっていると、「あれ？」と背後から声がした。突然のことに驚いて肩を跳ねさせ振りかえると、そこには3名の姿。

「水瀬さんじゃないか。」
「あ……えっと、幸村くんと不二くん、白石くん……だよね？」

驚いた様子で目を見開き、水をやるAを見つめる3人の姿がそこにはあった。