248 ページ17
・
・
「1次受かってよかったね。」
「……現見、ケミィさん……。」
陽気に私に話しかけた彼女。私の隣にいたお茶子ちゃんが少し警戒態勢を取ったような気がして、私もなんとなく身構える。そんな私達を笑ったケミィさんは意味深に言った。
「相変わらずカァイイ……ねえ、好きなヒトはできた？」
「――え？」
どこか聞き覚えのあるその言葉。けれど思い出せないままに、「いくぞ。」なんて声をかけられて彼女は私やデクくんに「じゃアね。」と告げて去っていってしまった。
何だろう……なんとなく聞いたことある感じの言い方だった。相変わらずっていうのは体育祭からのことを言ってくれているのかそれともどこかであったことがあるのか……。可能性があるとしたら前者。
「(分かんない……なんだっけな……。)」
と、考え込んでいたそのとき。ジリリリリ！！とけたたましい音が鳴り響いた。あまりに急なことだったためにみんな驚きに顔を染める。
「敵による大規模破壊が発生！規模は○○市全域。建物倒壊により傷病者多数！道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ！到着するまでの救助活動はその場にいるヒーロー達が式を執り行なう！――1人でも多くの命を救い出すこと！！」
もやもやとした気持ちは残るけれど……割り切らなくちゃ。
さあ、救助試験スタートだ！
・
今度こそみんなとはぐれないようにしなくちゃ。その一心で目の前にいるデクくん達と一緒に行動する。そして移動していると、「あ"あ"あ"あ"んたすげでええ！！」と泣き叫ぶ子供を発見した。
「あっち……！おじいちゃんが！！ひっ、潰されてえ！」
そんな少年の言葉を受けて「ええ！大変だ！！どっち！？」とテンパるデクくん。デクくんの言葉にかえってきたのはおじいちゃんの所在地ではなく、予想すらしていないものだった。
「なァんだよそれえ減点だよォオ！！まず私が歩行可能かどうか確認しろよ、呼吸の数も可笑しいだろォ！？頭部の出血もかなりの量だぞォ！？仮免持ちなら被害者の状態は瞬時に判断して動くぞ！
こればかりは訓練の数が物を言う！！視野を開くぅ、周りを見ろォ！！」
なるほど……！救助対象のHUCの皆さんが採点するってことか……！どれだけ相手に気を配りつつ、かつ迅速に効率よく行動できるかが求められる……。
相当難しいぞ……、この試験。
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 230人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2017年11月4日 3時
