118 ページ27
・
・
「ただいま〜。」
「A！！テレビ！！テレビ見たわよ！！」
「勝己くん強かったな〜。でも出久くんもなんかすごかったな！」
「録画してるわよ！見る！？」
「あの氷の子エンデヴァーの息子なんだって！？すごいな！！」
「……お願いだから2人とも片方ずつ喋ってくれるかな。」
帰った瞬間父と母からの手洗い出迎えを受けた。うーん、デジャヴを感じる。
リカバリーの副作用が続いているのか、なんとなくだるい体を動かして質問攻めを続ける両親をたしなめながらリビングのソファに倒れこんだ。
「あ、ご飯すぐ用意するわ！」とあわてた様子のお母さん。お父さんは椅子に座ると私に言う。
「個性の扱い、いつの間にあんなに上手になったんだ？？」
「毎日のトレーニングで自然とかなー。」
うつ伏せの状態のまま話す私に、お父さんは「ちーがう違う！」と大げさに言う。え、なに？もう酔ってるのかな？
「右腕の方だよ。み、ぎ！」
「本当よねー！びっくりしちゃったわ！」
ご飯を机に運んだお母さんが話に入った。でもただただ疲労が大きくて答える気になれず、声を出すのさえ面倒で「んー。」と曖昧に返す。
そんな私に「適当な奴め。」とお父さん、「ご飯できたわよ。」とお母さん。
と、そんなとき。ピンポーンとインターホンが鳴った。
「はーい！」と慌ただしくお母さんがドアへと向かう。わたは体を起こしてイスに座ろうとしていると、お母さんの「あら勝己くん！」という声が聞こえた。
……これ呼ばれるやつ？
そう思った直後、「Aー！」とお母さんに呼ばれた。ああ、予感的中……。
ため息をつきながらに重い体を動かして玄関へ。するとそこには頭にたんこぶを作ったムスッと表情のかっちゃんの姿。右手には紙袋が握られている。
「かっちゃん、どうしたの？」
「ババアに勝負とはいえ女の子相手にやり過ぎだって言われたんだよ……。で、これ渡して来いって。」
お詫びってやつだろうか。かっちゃんから差し出された紙袋を受け取ったお母さんは申し訳なさそうな表情になった。
「あらあらまあ、全然いいのに……。ありがとうね勝己くん。よろしく伝えておいてね。」
「あ、はい。」
大人しくて素直なかっちゃんなんて久々だ……なんかかわいい……。って思ってまじまじと見てたら睨まれたけどね。こわい。
「じゃあ俺はこれで。」
「本当にありがとうね！」
「ばいばーい！」
「おう。」
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 206人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤兎リエ輔(プロフ) - 私さん» パート3にもコメントありがとうございますうう！！ええ、ついにパート3です…((( 本当ですか…！めちゃくちゃ嬉しいお言葉をありがとうございます…！御期待に沿えるよう、精一杯頑張らせていただきます！コメントありがとうございました！ (2017年9月8日 23時) (
レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
私 - 続編おめでとうございます！！ついにパート3ですか……もう本当、作者さんの愛がスゴいです！！(( これからも頑張って下さい。応援してます！ (2017年9月6日 2時) (レス) id: 9b4f9f305a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2017年9月2日 19時
