77話 ページ27
「僕を―――殺してください。」
そう言いながら 彼は私に向かい頭を下げる。
子供のような見た目の割に、何も籠もっていない淡々とした声。
異常なほど 大人びた瞳に射抜かれた
『…こ、殺せば、いいの……?』
「はい。魔族にとって、己のツノを捧げる行為は忠誠の証。僕は常に死にたかった。」
『なら、こんな所で誰か待ってないで、自害でもすればよかったのに。ちょっと疑うよ』
「…死ねないんです。ツタで首を吊っても、石で血管を切っても。飛び降りもしようと思いました。でも、僕はこの森から出られなかった。きっと魔王の呪いのようなものでしょう」
魔王、は呼び捨てにするのか。
魔族にとって最強の君主。敬わないなら、裏切りとして捉えられてもおかしくない。
しかし、今彼は『忠誠』と言ったか。
…私はすぐに願いを聞き入れるような、利益を求めない善者ではない。
利用できるならとことん利用する。
敵なら、尚更。
『…わかった、聞き入れようか。でもその前に私の要望も聞いてもらいたい』
「何なりと。」
あ、本気だ。
彼は今 魔王より私に尊敬の念を抱いた。
それにしても礼儀が良すぎる。魔族は長寿だったりするのだろうか。
『王の城から近い村へ案内して欲しい。』
「え…で、でも僕は森から出れませんよ。付近までは案内できますが」
『うん、それでいい。』
「わかりました。…叶えたら、殺してくださいね」
『勿論。』
彼と話していて、いくつかの情報を貰った。
魔族は人間の生まれ変わりのようなもの
そして、半永久的な命となる。
そして 姿形を変えられる、と。
人間に化け騙し殺すこともある。…外道の先を歩んでいるようだ。
魔族は六人。シュヴィとロイがそのうちに入る。
『他の魔族の名前は?』
「…もう、覚えていません。」
『そう』
「僕もすっかり老いた……数えたところだと、今は二百歳くらいですかね」
その長い長い、長い―――年月の間、森に一人閉じ込められていたのか。
これは私の妄想に過ぎない。
魔物も魔族も、この世に生み出された時点で命を押し付けられただけなのかもしれない。
生きるという名の無期懲役。
決定権くらい、君にあってもいいんじゃないか。
気づけばここは森の端だった。
「では勇者、僕を―――」
『…ごめん、すぐ帰って来るから待ってて欲しい』
「――あぁ、帰りの案内も、ということですね。素直に言って下さいよ」
『…ごめんね』
森を出た。
続く (更新停止中)
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天然記念ゴミ(プロフ) - ーーーさん» (^_-)-☆ (3月19日 2時) (
レス) id: bde2ec8f8b (このIDを非表示/違反報告)
ーーー - つ、つづきをくれーーー (3月18日 20時) (レス) @page26 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
こーど - めちゃ好き…面白いのになぜ伸びない… (12月28日 23時) (レス) id: 65133e32a9 (このIDを非表示/違反報告)
nu(プロフ) - 好きです…ありがとうございます……更新待ってます…！！ (12月27日 14時) (レス) @page8 id: b0397f8cd1 (このIDを非表示/違反報告)
アスカミ - 天然記念ゴミ様の別の作品の、「一目惚れ悪魔と，，，(略)」の転生モノだと思っていて…今回ようやく気付いて。それは出会っていなかったようなものなので… (12月25日 18時) (レス) id: 6edaad17fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天然記念ゴミ | 作成日時：2023年12月24日 15時
