ご褒美5 ページ17
亮side
「なぁ、ほんとに欲しいもんねぇの？」
昼過ぎ、適当に入った雑貨屋をブラブラして、最新式の便利グッズに驚いてるAに、本当に何かないかと尋ねる。
このままでは、カルボナーラが彼女の誕生日プレゼントになってしまうし、それはさすがに嫌だ。
『う〜ん…』と悩み始めたAだったが、『そもそも何でそんなに物を与えようとするの？』と言われ、素直に誕生日だからプレゼントを贈りたい、と言えばいいものの、彼女の前だと変に意地を張ってしまう俺は、「今日の買い物に大人しく付いてきて、いい子だったからご褒美だ」と告げる。
すると彼女は再び『う〜ん…』と悩み始め、『あっ…』と何か思い出したように俺を見る。
そして、『吉沢くん、私欲しいもの…あったんだけど、本当に買ってくれるの？』と言って上目遣いで首を傾げてくるA。
その姿にグッときて、もうこの際、車だろうが家だろうが買ってやろうかと思いつつ、彼女に手を引かれるまま、たどり着いた場所は…
まさかの…クレープ屋、だった。
「は？欲しいもんって、これ？」
『うん、欲しいというか、食べたいって思ったもの』
「…まじかよ」
『あのね、1番高いやつ、トッピングいっぱい乗ったイチゴのやつ、食べたいの…ダメ？』
ダメなわけねぇし、そもそも高いって言ったって1000円もしない。
メニューをキラキラしたような目で見上げるAに、端から端まで全メニュー頼んでやろうか、と思うが、Aに財布を渡して買ってこいと託す。
近くのイートイン専用のイスに座って待っていれば、嬉しそうにクレープを持って帰ってきたA。
俺の財布を丁重に返しながら、『吉沢くん、本当にありがとう』とニコニコ笑って食べ始めたAに、俺は呆れつつも…再び胸がグッとなるのを感じる。
またちょっかいを掛けたくなって、「一口くれ」と言うと、クレープを持った手を俺の口元に近づけてくるA。その手を覆ってクレープを食えば、生クリームとイチゴのソースで、かなり甘い。
『凄く美味しいでしょ？』と何故か得意げに聞いてくるAの口元に、ソースが付いていて、指で拭って舐めれば、頬を赤く染めて目をそらすA。
珍しく俺に照れた様子のAを見れて、結局彼女へのプレゼントは全部食べ物だったが、何故だが満たされた気分でいっぱいだった。
形あるものを残す事はなかったが、彼女に見えない何かを与えたような気分で、その日はずっと高揚感でいっぱいだった。
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レイズ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。感想とても嬉しいです。今後とも宜しくお願い致します。 (2019年10月22日 16時) (
レス) id: 7e87fc9e00 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - こちらの作品めちゃくちゃ大好きです！！！！ハマっちゃって更新が楽しみで仕方ありません！！！！頑張ってください！！ (2019年10月21日 23時) (レス) id: 31ac1bf2e5 (このIDを非表示/違反報告)
レイズ(プロフ) - 蓮さん» 蓮さん、コメントありがとうございます。すみません…更新が長く停滞してしまいました…なかなか構成がうまくいかないのと、プライベートが多忙ですが、もう少し更新頻度増やすように努力します…！宜しくお願い致します！ (2019年10月20日 12時) (レス) id: 7e87fc9e00 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 最近あまり更新されてないようで寂しいです( ノД`)…楽しみにしてます！ (2019年10月20日 1時) (レス) id: e90feb906e (このIDを非表示/違反報告)
レイズ(プロフ) - 雫さん» 雫さん、コメントありがとうございます。更新を楽しみにして頂きまして、とても嬉しいです。単調な展開にならないように頑張ります。今後ともよろしくお願い致します。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: 7e87fc9e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイズ | 作成日時：2019年9月7日 0時
