生きた天使 (ページ33)

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君はヒーロー2 ページ33

Aside

それから、最後の打ち上げの日。
私は雑誌の撮影で参加できずにいたけど、最後くらいは監督に挨拶しなくては！と里ちゃんに言われ、終わりかけに訪れていた。

でも、気が付いたら今まで話したこともなかったスタッフさんや、共演者の人に囲まれていて、対応に困って顔を上げた時だった。

亮ちゃんと目が合ったのだ。

すると、彼は気軽に手を振ってくれて、

嬉しくて思わず顔がほころぶと、彼も優しく笑ってくれた。

次に亮ちゃんと再会したのは3年後。
その3年の間に、私はある人がきっかけで、女優としても生まれ変わることになり、有り難いことに名誉ある賞も頂けた。

久々に見た亮ちゃんは、変わらずに優しくて、彼もまた、役者として何かが変わったようだった。

映画"トモダチゲーム"は、友情とお金を賭けた壮絶な頭脳戦が繰り広げられる、人気漫画の実写化だ。
私も漫画を読んだけど、人は大金を前にすると、こうも簡単に醜い本性が見えてしまうのかと思うけど、人の気持ちなんて見えるものではない。
漫画の世界とはいえ、人のドロドロした欲は、現実世界でも同じだと思う。

現にいま、共演者である一人の俳優さんに、しつこく連絡先を聞かれ、毎日のようにご飯に誘われることに、とても困り果てていた。

「ねぇAちゃん、今日は？今日はこのあと暇？」

例え暇があったとしても、あなたとは絶対行きたくないです！とハッキリ断りたいが、撮影中で場の空気を乱すわけにもいかないし、何かと理由を付けて断っていたけど、さすがに限界が来ていた。

というか、とても近いです…
お願いだから肩に手を回さないで…
香水の匂いがキツくてちょっと気持ちが悪いし、
馴れ馴れしく触らないで欲しい……

こんなに目に見えて私への欲が丸出しな人は久々で、どうしたら諦めてくれるのか困っていたら、

亮「篠宮さん、俺との絡みのシーンだけど、事前に相談したいからいい？」

そう、亮ちゃんに声を掛けられたのだ。
私はチャンスだと思い、真っ先に亮ちゃんの元へ駆け寄る。
すると、亮ちゃんは彼に向かって、

亮「もしかして篠宮さんと打ち合わせでもしてました？」

「…いや、別に…」

亮「じゃあ、篠宮さん、行こっか」

そう言って私を連れ出してくれる。

うん、やっぱり亮ちゃんは私のヒーローなのかもしれない。

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