生きた天使 (ページ27)

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鞄バラバラ事件ページ27

亮side

『あれ…？家じゃない？』

なんて言い出して、Aはすぐに起きた。

寝ぼけてるのかと思ったら、俺と目が合う。
思わず気恥ずかしくなってすぐに目を逸らしたら、

『……吉沢さん…何かご用、ですか？』

亮「え、あー………あれ、俺の名前…」

『え…吉沢さん…じゃ、なかった…ですか？』

亮「いや、吉沢っす……すみません」

『いえ、あの…もしかして音響なおったんですか…』

亮「いや、まだで…その、俺そこの自分のバッグ忘れてて…」

『あ、そうなんですね………えっと…これですか？』

そう言って俺のバッグを取ってくれた瞬間…

バラバラバラーと中身が落ちる。
そういえばチャック開けっぱにしてたんだった…

『「………………」』

さっきから、気の抜けたような、ギャップがありすぎる展開に、もう我慢できなくて、俺は声を出して笑ってしまった。

座席周辺に俺の荷物が散らばってて、Aは1人ワタワタと『ごめんなさい！どうしよう！』って謝ってるけど、そんな姿もギャップがありすぎて、無性に目の前で百面相してるAが可愛くて、たまらなかった。

それから、一緒に荷物を集めて、スタッフが「撮影開始でーす！」と呼びに来るまで、ちょっと世間話をした。

ドラゴンボールは、オフの時に漫画喫茶で試しに読んだら面白くて、全巻大人買いしたこと、
(意外と漫画喫茶とか行くんだ…)

その白い肌は太陽の光に弱いらしく、いつもロケバスの中で待機することが多いこと、
(だから私服はほとんど露出しないんだ…)

俺の名前を知っていたのは、ちょっと前に俺が出ていた仮面ライダーフォーゼを観ていたから、
(嬉しくて思わず緩む口元を隠した…)

初めて話したAは、今まで抱いていたイメージとは真逆で、ちょっと抜けてて、天然で、ニコニコと天使のような顔で笑う女の子だった。

みんなの知らない秘密を知ってしまったような、そんな高揚感で、

でも

Aは今日でクランクアップ

せっかく話せたのに、次はいつ会えるかわからない

結局俺は、高揚感と切なさと、複雑な気持ちを抱いたまま、スタッフから花束を貰ってお礼をいうAに拍手を送った。

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