生きた天使 (ページ23)

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返せないお礼ページ23

Aside

ビールフェスタは思ったより大きい会場で、たくさんのお店がズラーーーっと並んで大盛況なお祭りだった。
お客さんも多いけど、わりとみんなビールやおつまみなどに夢中で、誰かに見られるかな…なんて心配もいらないくらい、私たちは溶け込めていた…(と思う)

何より、横にいる亮ちゃんがとっても楽しそうで、

亮「何から飲もっかな～」

なんて、キョロキョロしてて、子供みたいで可愛かった。

ちなみに私もお酒は飲めるけど、普段は甘めのお酒ばっかりで、そんなに強くはないので、亮ちゃんのあとにちょこちょこくっ付いて歩く。
でも、大勢の人で迷子になりそうで、亮ちゃんのダボっとしたシャツの裾を掴んでたら、

亮「こっちの方がいいんだけど…」

と、左手を差し出されて、その大きな手を握った。

亮ちゃんの手は、ちょっと肉厚で、掌が硬め。
ママレード・ボーイの時に、亮ちゃんと手を繋ぐシーンが多くて、「ずっと剣道やってたから掌が硬いのかも？」と言っていたけど、私の貧相な手がすっぽり収まってしまう亮ちゃんの手…
実はこうやって手を繋ぐの、好きだったりする。
本人には恥ずかしすぎて絶対言えないけど…

一通り試飲して、わりとたくさん飲んだとは思うけど、それぞれ少ない量だからか、亮ちゃんは来た時と変わらない。
逆に私の方が何回か飲んだら、気分がフワッとしてきた。
普通のビールよりアルコール度数の高いやつもあったりするのかな…

亮「あ、これ美味い」

『好みのあった？』

亮「フルーツ系でAも好きかも…飲む？」

『うーん、でもこれ以上は酔っちゃう』

亮「大丈夫？」

『うん…………

ねえ、それ、亮ちゃんのやつでいいから、一口だけ欲しいな…』

亮「……………これ？」

『うん、飲んでみたい』

多分ちょっと酔いが回ってるのかもしれない。
普段じゃこんなことを絶対言わないけど、なんとなく亮ちゃんに甘えたくなってしまって、お酒の力って凄いかも。
でも亮ちゃんも悪いんだ…そんな優しい顏で頭を撫でられたり、優しくされたら甘えたくもなる。

今日は私が亮ちゃんを持て成すつもりなのに、気付いたらまた私を持て成してる亮ちゃん

なかなかお礼は返せそうにない

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