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57話、呼び名を変えて ページ8

社員達の輪から少し離れた所に着いた途端、中島がガバリと頭を下げる。聞けば、Qの呪いにかかっていた時にAの首を絞めたことを謝りたいらしい。



「自分の意志ではなかったとはいえ、津島さんに酷いことを…本当にすみませんでした!」

『…何かと思えばそんなことでしたか』

「そんなこと!?」

『此処ではあの程度のことなど、いちいち引き摺っていられませんよ』



そこまで言うと、中島はへなへなと床に座り込んでしまった。相当な罪悪感を抱いていた様だ。Aはその肩を軽く叩き、顔を上げた中島の口にフォークに刺したケーキを一口分押し込む。むごぉっ!?となんとも情けない声を出した中島にAが言う。



『辛気臭い顔などしていないで、今は浮かれても良いかと思いますよ。敦くん』

(やり方が強引………ん?)



一瞬呆気に取られた様な顔をした中島は、驚きを隠さずに目を見開いた。ゴクリと甘いケーキを飲み込んだ中島は、ずいっと前に出る。



「津島さんっ?今…!」

『いつまでも苗字呼びでは愛想が無いかと思いまして』



嬉しそうに中島が何か言おうとした瞬間、ハッとする。Aの影から、じとぉっと視線を送ってくる泉に気付いたからだ。だらだらと汗をかく中島を横目に、泉が期待に満ちた目でAを見る。



「…私も、鏡花で良い」

『それなら…鏡花さんで宜しいですか?』

「…………」

『…………』



またしても、泉がじとりとした目を向ける。その目線から意図を察し、眉をぴくりとさせるA。しかし、それに自分は応えることはできない。



『…すみません。呼び捨てにする女性(相手)は一人だけと決めていまして』

「おやぁ?そんな相手がいるのかい?」



今度は酔っ払い(与謝野)が絡んできた。手には酒瓶がしっかりと握られている。それをチラリと見下ろしたAは、すぐに視線を戻して与謝野が持っていた酒を飲み干した。酒の残りは半分以下だったが、その度数を見て中島はゾッとする。



(どんだけ酒強いんだこの人)

『飲み過ぎると身体に毒ですよ』

「うるさいよ、堅物」

『おや、心外ですね』



ぶすくれた表情の与謝野にケーキを渡し、やいのやいのと騒がしい輪から外れるA。自分も少し舞い上がっているのかもしれない。言うつもりのないことまで言おうとしてしまった。Aは一人首を振って、探偵社の外へ出ていった。

58話、紐解かれる記憶→←56話、僕の街



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雪山(プロフ) - ラムネさん» ものすごい勢いのお褒めの言葉、ありがとございます!これからも頑張ります! (2022年11月22日 21時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
ラムネ - もうこの作品大好き!!ああああああ!!もうなんなの!歳上なのに部下とか!好き!!そして男主の性格好み過ぎな?もうこの作品神!そしてこの作品生み出した雪山さんはもう神以上!更新頑張ってくださいいいいい! (2022年11月22日 19時) (レス) @page27 id: be178889d7 (このIDを非表示/違反報告)
雪山(プロフ) - Yasi123さん» なんて嬉しいお言葉…!これからも励んでいきます。 (2022年9月15日 20時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
Yasi123(プロフ) - 最近見させていただいています。とても面白いくてめっちゃ好きです。男主くんのキャラがすごい好きです。頑張ってください (2022年9月14日 22時) (レス) id: ea7056b992 (このIDを非表示/違反報告)
雪山(プロフ) - elliscat810さん» 嬉しくて舞い上がってしまいました。コメントありがとうございます。 (2022年8月30日 14時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪山 | 作成日時:2022年5月20日 17時

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