74話、アラハバキの正体 ページ25
これまでの目撃情報は、全て“先代を見た”というものだった。しかし、一人だけ“アラハバキを見た”という証言をした者がいる。そう、蘭堂だ。
一方で太宰は、蘭堂の言葉の矛盾を掴んでいた。擂鉢街の中心でアラハバキを見たのなら“海”など、見えるはずがないのだ。ならば、蘭堂がヨコハマの海を見たのは、擂鉢街ができる以前だということが分かる。
「神などというものは存在しないから、私を犯人だと考えた。そういうことか？」
「違ぇよ。逆だ」
「…？」
＿＿＿＿「神は存在するからだよ」
中原は、アラハバキが存在する事を知っていた。蘭堂は呆気に取られたような表情を浮かべたが、直ぐに質問を繰り出した。
「中也くん、ならば君は知っているのか。アラハバキが今何処にいるのかを」
「知っているなら教えてあげなよ」
『何方にせよ、蘭堂さんは組織を危険に晒した罪で処刑されますしね』
「ったく、何奴も此奴も何であんな奴に会いたがる！」
アラハバキには、死人を蘇らせる力などない。それどころか、人格や意志さえも存在しない、台風や地震などの自然と同じ様なものなのだ。
「大いなる破壊。地を焼き、空を染め、大気を震わす、理解の及ばぬ彼岸のもの」
その力は、蘭堂を魅了するには十分過ぎるものだった。「教えてくれ」と言い、中原を見つめる彼の目は、真剣そのものだった。
「人知を超えた存在…私を焼いた者は何処にいる？」
暫く黙った後、中原はゆっくりと蘭堂に向かって歩く。彼の目の前で足を止めた中原は、自分よりも高い位置にある蘭堂の顔を見上げた。
「そんなに知りたきゃ教えてやる。アラハバキはな…
＿＿＿＿＿＿＿＿俺だよ」
「『 ！ 』」
青い目の奥は見えない。息が詰まる様な、しかしどこか穏やかな空気に似合わず、蘭堂は嬉しそうに口角を上げた。
「…薄々、そうではないかと思っていた」
▽▲▽
中原中也には、人生の記憶が途中からしか存在しない。何処かも分からぬ闇の中で、ただそこにいた。しかしそこに誰かの手が入ってきて、彼を引っ張り出したのである。恐らくその手は蘭堂だろう。
「アンタが何処で俺を見つけたのか。それを知る為に、俺はこの事件を追った。…全部吐いてもらおうか」
「無論教えるとも。君には、その権利がある」
すると蘭堂は、自身の左手から発光する何かを中原に向けて放つ。咄嗟に異能力で防御した中原だったが、何故かそのまま奥の部屋まで吹っ飛ばされた。
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雪山(プロフ) - ラムネさん» ものすごい勢いのお褒めの言葉、ありがとございます！これからも頑張ります！ (2022年11月22日 21時) (
レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
ラムネ - もうこの作品大好き！！ああああああ！！もうなんなの！歳上なのに部下とか！好き！！そして男主の性格好み過ぎな？もうこの作品神！そしてこの作品生み出した雪山さんはもう神以上！更新頑張ってくださいいいいい！ (2022年11月22日 19時) (レス) @page27 id: be178889d7 (このIDを非表示/違反報告)
雪山(プロフ) - Yasi123さん» なんて嬉しいお言葉…！これからも励んでいきます。 (2022年9月15日 20時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
Yasi123(プロフ) - 最近見させていただいています。とても面白いくてめっちゃ好きです。男主くんのキャラがすごい好きです。頑張ってください (2022年9月14日 22時) (レス) id: ea7056b992 (このIDを非表示/違反報告)
雪山(プロフ) - elliscat810さん» 嬉しくて舞い上がってしまいました。コメントありがとうございます。 (2022年8月30日 14時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪山 | 作成日時：2022年5月20日 17時
