69話、不仲コンビ ページ20
空は青く澄み渡り、太陽が街を照らしている。ポートマフィアのアジトも遠くに見えるほどに、A達は目的地へと足を運んでいた。
「おい、何処に行くのかくらい教えやがれ」
「悪いけど、話しかけないでくれる?ちょっと呼吸で忙しいから」
「首引っこ抜くぞ自 殺願望…!」
こんな良い天気だというのに、太宰と中原の仲の悪さはこうして最高潮だ。苛ついているのを隠そうともせず、中原は回し蹴りを太宰に仕掛ける。それを軽々と避ける太宰。
「おい、教えろデカブツ」
「君に比べたら誰だってデカブツなんじゃなぁい?」
「手前…良い加減にしろよ…!」
『…調査です。爆発を一番間近で見た人間に、話を聞きに行くんですよ』
普通この状況で話すか? と言うような視線が向けられるが、此方の知ったことではない。あくまでAはお目付役。手を下すのは、二人に何かあった時だけ。これはただの餓鬼の喧嘩である。
その時だった。辺りに突然、爆発音が鳴り響く。目を向けると、目的の場所から黒煙が上がっている。
「…あちゃー、犯人に先を越されちゃったかな」
「そんなこと言ってる場合か!」
走り出した中原に続き、太宰とAは駆け出した。
行ってみると、屋敷は半壊、大きく燃える炎がモクモクと煙を上げていた。
『…どうやら、聞き込みは無理そうですね』
「両手を挙げて、此方を向きなさい」
突如聞こえた声に、三人は振り返る。武装した男が、此方に銃を向けていた。彼はポートマフィアの敵対戦力のひとつである、GSSの戦術班の人間だった。それを見た中原の口角が上がる。
「聞き込みなんてたりぃと思ってたんだよ。口封じに来た犯人に口を割らせる方がシンプルじゃねぇか」
下がってろ、と中原が前に出る。それをジト目で見ていた太宰が、ぽつりと呟く。
「…はあ、子供だ」
▽▲▽
そこからは早かった。中原は異能力で、男と増援に来た大勢を獅子奮迅の如く蹴散らしていったのだ。増援の一人が、中原を「チビ」と言った瞬間、自分に向けられた銃弾を全て弾き返したのは記憶に新しい。
太宰は落ちた銃を拾い、一人に話しかける。
「運がなかったねぇ。その怪我なら、死ぬまでに5分程はかかるだろう。僕なら耐えられないね」
そして、男に問うた。解放してあげようか、と。無慈悲に聞こえるその質問も、男にとっては天からの啓示に近かったのかもしれない。「撃ってくれ」と言った男に、太宰は引き金を引いた。
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雪山(プロフ) - ラムネさん» ものすごい勢いのお褒めの言葉、ありがとございます!これからも頑張ります! (2022年11月22日 21時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
ラムネ - もうこの作品大好き!!ああああああ!!もうなんなの!歳上なのに部下とか!好き!!そして男主の性格好み過ぎな?もうこの作品神!そしてこの作品生み出した雪山さんはもう神以上!更新頑張ってくださいいいいい! (2022年11月22日 19時) (レス) @page27 id: be178889d7 (このIDを非表示/違反報告)
雪山(プロフ) - Yasi123さん» なんて嬉しいお言葉…!これからも励んでいきます。 (2022年9月15日 20時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
Yasi123(プロフ) - 最近見させていただいています。とても面白いくてめっちゃ好きです。男主くんのキャラがすごい好きです。頑張ってください (2022年9月14日 22時) (レス) id: ea7056b992 (このIDを非表示/違反報告)
雪山(プロフ) - elliscat810さん» 嬉しくて舞い上がってしまいました。コメントありがとうございます。 (2022年8月30日 14時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪山 | 作成日時:2022年5月20日 17時