ERROR！ver.2【浅野学秀】【赤羽業】 (ページ8)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:7,019 hit

am10:00-waiting- ページ8

椚ヶ丘駅の前に向かうと、既に浅野が待っていた。模範的と言ってはおかしいが、少し裕福な高校生ぐらいが着ていそうな服装だった。
なんとも、浅野学秀らしい格好。

外にいる時は常時発動の分析モードで、周りの女子がチラチラと視線をやっているのを静かに分析すると、浅野が女子に絡まれそうになる前に話しかけた。

『おはようございます、試験お疲れ様です』

『ああ……おつかれ』

近づこうとしていた女子はAを見るなり肩を下げて去っていった。Aからして少し前に声をかけられたこともあり、あしらうのは面倒くさいものと認識しているためボケっとする浅野をほっぽりほっとしていた。

『どうしたんですか』

浅野はすぐ平常に戻ったが、目ざといAはわざわざ突っ込んだ。

『いやなんだ、いつもと格好が違うと雰囲気も変わるな』

『それはどうも』

『タウゼントが住んでいるところはこの近くなのか』

『この駅の北口から学校までの道のりにあるマンションに住んでいます』

『随分近いな、僕の家もそっち方面だ』

『有名校の私立となるとだいぶ遠くから来たりもしますからね』

『ああ、特に君は国すら違うようだけど』

『詳しく知りたいなら勝負に勝ちましょうね』

『もちろんだとも』

おおよそ二人で出かける男女の顔ではない。どちらのマゼンタも好戦的すぎる。にやりと歪む口許すら絵になるのはこの二人くらいだろうか。

『本日のご予定は？』

『適当に喫茶店の予約を取っておいた。試験終わりだし息抜きに付き合え』

『勿論ですとも』

駅から少し歩いたところにある目的地は、レンガ造りの年季の入ったように見える落ち着いた喫茶店だった。アイビーが壁やら看板に蔦い色硝子の窓と今は消えている燈が綺麗だった。

『随分とオシャレな場所ですね』

扉を開けてもらい中に入ると、ジャズと静かな時間が流れていた。年代もバラバラな客たちは各々が違った時を過ごしている。

予約を取ったらしい壁伝いのカウンター席でアイスティーを頼み、運ばれてきた紅茶と砂糖を二つ中に落とす。

カランカランと混ぜてから香りを確かめる。
ダージリンの爽やかな香りとあっさりとした味。味覚機能の性質かはわからないがらAはスッキリとした爽やかなものが好きらしい。

口をつけると、横で珈琲を飲む浅野に話しかける。

『それでは、本題に入りましょうか』

『せっかちだな』