ERROR！ver.2【浅野学秀】【赤羽業】 (ページ5)

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Aが磯貝たちのところへ帰ると、一つ空いている席に座る。もちろんのこと、茅野がプリン大百科を読んでいることに気づいたAはその真剣な顔に笑いそうになった。

『おやおや、Ｅ組のみなさんじゃないですか』

『どけよ雑魚ども、そこは俺らの席だ』

どこぞのド三流チンピラと見間違うような本校社生徒の言動に、Ｅ組メンバーは面倒臭いと隠しもしない顔となった。茅野がつっかかるが、その拍子にプリン大百科があらわになる。Aは抑えきれずにくつくつと笑った。

所謂五英傑という彼らに磯貝は言う。

『ここは俺たちが予約してとった席だ』

『忘れたのか？この学校ではＥ組はＡ組に逆らえない』

『私たち期末テストで各教科一位を狙っています、そうなったら大きい顔なんてさせません』

『く、口答えするな！眼鏡だなんて芋臭い！』

陰険メガネに奥田は負けじと反論するが、裏返った声で喚き散らす様子に気圧されたようで、冷や汗を垂らした。

俯いたAの横では、榊原が神崎にちょっかいをかける。そんな様子を一瞥した陰険眼鏡小山はＥ組メンバーをハッとした様子で見渡した。

(待てよ、こいつら中間テスト……神崎有希子国語23位、中村莉桜英語11位、磯貝悠馬社会14位、奥田愛美理科17位)

そこまで彼の思考が走った時、机の隅で顔を上げたAがマゼンタの瞳を僅かに光らせニヤついた。

(あいつは誰だ……まさか留学生？いや、ならなぜＥ組に所属しているっ)

『お初にお目にかかりますね。スウェーデンから来た留学生のAです』

留学生と言ったが、一寸の狂いもない日本語に小山と眼鏡2号の荒木が反応する。
綺麗な顔をして目を細めるAの力が全く予想出来ず、ゴクリと唾を飲み込んだ。

『じゃ、じゃあこういうのはどうかな？五教科でより多く1位を取ったクラスが負けたクラスになんでもひとつ命令できる』

気を取り直したように告げる小山に、他の5英傑も反応する。

『俺たちだったら命かけても構わねぇぜ』

その言葉は言ってはならなかった。
暗殺者として、命のやり取りをする彼らには。

ただのシャーペンがナイフに変わり、突きつけた指先は銃口にもなり得る。音もなく急所に突きつけられた凶器、重厚な殺気。

Aも他のメンバーと同じ感情を抱いた。獲物を捕らえるように怪しく光をうかべるマゼンタの瞳。浅野にも似た支配者の色。

一瞬で戦場へと変わる館内、渚の声が静かに響いた。

『命は簡単に賭けない方がいいと思うよ』