7月21日am08:30/答案返却 ページ14
『おはようございます』
『おはよー!』
いつもより一層騒がしい教室内。Aは教室内に足を踏み入れた瞬間、いつもと違う空気感に気づく。答案返却に期待半分緊張半分で皆沸き立っている様子が見て取れた。
涼しい顔をしたAは鞄を置くと、他と違わずそわそわしている渚と茅野のところに顔を出す。
『もう結果が気になりすぎて眠れなかったよ〜』
そう似たり寄ったりしたことを各々口に出しつつ、机に向かって自己採点を最終確認をしている生徒達を眺める。
『僕も必死だよぉ』
渚が問題用紙に目を通しつつ息を吐く。それを横目にAは不在の業の席を見つめた。
そのまま視線を移動させ、教室の片隅にいる寺坂組を観察する。気にしていない素振りをしているようで、本当は気になっていることはAにはお見通しだった。
『ちょっとだけ私も皆さんにつられて緊張しています』
『緊張するの?!』
『しますよ。まじやべえ…………これはバグですかね』
皆さんが言ってるから覚えたのですが、そう言ってケラケラと笑うと、呆気にとられている茅野と渚に優しく微笑む。
『このクラスなら大丈夫ですよ』
全面的にクラスに信頼を寄せているAの言葉に、渚達は心を支えられる気がした
『そういえば、前々から気にしていたのですが……カエデは頭痛持ちですよね? 鎮痛剤なら持っていますから必要ならば言ってください、今も痛むのでしょう』
『っ……うん!ありがとう! そうなの〜気圧の変化とかでしょっちゅう痛くなっちゃうからさ、すごいね〜Aちゃんは』
『さいですか。人の状態は無意識下で分析しているものですから、言ってくだされば分析モードはロックしておきます』
『え、そうだったの? 大丈夫?』
『大丈夫だいじょうぶ〜、気にしないで〜。それにしても分析モードね……乙女にはヒミツが色々あるからロックして欲しいかもな〜なんて』
"分析モードをロック 対象者:茅野カエデ"
"指摘があるまで鍵状態"
『完了です』
『はやっ、さすがAI……』
そんなこんなで談笑していると、すっかり朝のHRの時間になる。発砲は欠かさず、Aも人間の体で何とかAIの計算に追いつこうと銃を構える。
皆の顔もいつになく緊張しているが、凶悪な問スターと戦っている時よりは晴れやかな顔だ。自信をくれた先生に向けて、今日も感謝し引き金を引く。
9人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:天泣tenkyu | 作成日時:2019年6月14日 22時