ERROR！ver.2【浅野学秀】【赤羽業】 (ページ16)

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am09:30 ページ16

先程から少々不穏な結果が続いている。僅かに浅野の脳裏によぎる最悪の結果。いやそれはないと、眉間のシワを何とかほぐす。

思い出されるのはAの言葉。
あそこまで真っ直ぐと自身のクラスを信じていた。無謀なことをしなさそうなあいつがそこまで言った事実とその内容は、ただ願望と夢に溺れた姿には見えなかった。

『クソ……』

まだ分からない、本校舎がＥ組に負けるわけがない。そう思いなおし、浅野は次なる答案返却に備えた。

『次は理科だ〜』

『1番から、来い。浅野くん』

答案用紙を受け取り、順位を確認する。

学年1位は、

『Ｅ組で１位、学年でも1位！奥田愛美！』

奥田愛美、理科98点。浅野に1点差をつけて学年トップに躍り出た。あの時奥田に喧嘩を売った小山夏彦は95点、学年3位だ。

『これでＥ組は勝ち越し決定！！』

『つまり……』

『Ｅ組がＡ組に勝った……だと』

答案用紙を握りしめる浅野学秀。次の答案返却は数学。強く絞めたせいで震えた拳を押さえつけ、自身の好敵手1号とも言える赤羽カルマを思い出す。

『浅野くん、数学100点で学年１位おめでとう』

『…………チッ、勝手に堕ちていったか』

赤羽カルマ、数学85点で学年10位。

『俺のライバルはタウゼント、か』

浅野がそう苦々しく吐き捨てる頃、カルマは人目につかない木のふもとで答案用紙を握りつぶしていた。

『この俺が完全敗北だって……？』

『当然の結果ですよ。A組の皆も負けず劣らず勉強をした、怠け者がついていけるわけがない』

背後から緑のしましま模様の殺せんせーが覗く。

『……ッ』

『余裕で勝つ俺かっこいい〜とか思ってたでしょ〜〜、恥ずかしいですねぇ』

殺せんせーがひたすらにカルマを煽って囃し立てるのを、Aは耳のどこかで小さく聞いていた。

『彼は多くの才能を持っている』

『『だが力あるものは得てして未熟です』』

『でしょう？殺せんせー。私もいずれ、そうなってしまうのでしょうか』

窓際で、Aは遠くのその姿に問いかける。

『大きな才能は、負ける悔しさを早めに知れば大きく伸びます。成功と挫折を胸いっぱいに吸い込みなさい、生徒たちよ！』

遠く、それでもハッキリと、その言葉はAの心に重く響いた。

『そうですか、良いことを知れました。でもなんとなく、学秀には負けたくないですね……』

そう呟き、目を細めて笑った。