ERROR！ver.2【浅野学秀】【赤羽業】 (ページ2)

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7月10日pm16:00/好敵手の時間ページ2

プール＆卵焼き事件から二日後のテスト一週間前、部活動も停止する頃。磯貝に誘われたA含め他数名は本校舎の図書室に来ていた。

『うわぁ、色んな本があるね』

『何冊か選んでから予約とった席に行こう』

ガラス張りの壁に、五段の本棚がずらりと向こうまで並んでいる。Aは勉強とは関係ないので、趣味などの本棚を眺めていた。

Aはネット上で物事を検索することが出来るが、その過程には自身の手駒を先にサイトに送り込み、安全を保証してから入っているなどその他数十にわたる捜査を行っているのだ。

安全じゃないサイトの方が沢山あるわけで、実際検索したとしても見れるサイトは少ない。
少し前にディープウェブに出入りした際、大変なものを見てしまったことがあった。トラウマ要因に増えて欲しくはないのでメモリは削除した。

そのため、本やテレビを使って知りたい情報を調べることが多くなったAは、最近よく市立図書館や本屋に出入りしているらしい。

閑話休題。

本棚の間をしばらく歩いていると、小さい一人用の机が本棚のあちこちにあるのに気づく、ここでは勉強をしている人はあまりいない。奥まったところにあるのも理由だろうが、何より勉強には関係ない本棚だ。資格を取るなら別だが。

誰もいないのをいいことにAは目を光らせて本棚を端からスキャンし始める。これで次からどこに何があるのかが一瞬でわかる。
何冊か手頃な本を抜き取り、通路の角を曲がった。その時、互いに衝撃が走り本が床に落ちる。

『おっと、すまない……タウゼント』

尻もちを着いたAが立ち上がろうとすると、目の前に手が差し出される。

『学秀じゃないですか』

どこがぼんやりしたように、ぶつかった人を見上げると、そこには我らが生徒会長浅野学秀が眉をひそめて立っていた。手をかり立ち上がると、床に落ちた本を浅野から渡される。

『ありがとうございます』

『いやいい、僕が悪かった、怪我はないか？』

『はい平気です。おや、シェイクスピアですか』

浅野が手に持っている本は、2冊の参考書とシェイクスピアの小説。洒落たフランス語の筆記体表記だ。

『フランス語で読もうと思ってね。君、フランス語は？』

本を渡され、Aは顔色を変えずにパラパラとページをめくる。

『La jalousie est un monstre qui s'engendre lui-même et naît de ses propres entrailles』

なんてことないと最初の方を朗読してみると、浅野が不満げに眉をひそめていた。